貸し切りバス事業者監督指導で85%に法令違反

2016年04月26日 10:44

 厚生労働省は今年1月15日に発生した長野県でのバス事故を受けて、ツアーバスを運行する貸し切りバス事業場196事業所に対し実施した緊急の集中監督指導の結果を25日公表した。全体の84.7%にあたる166事業所でバス運転者に対しての労働基準法などの法令違反があった。労働時間や健康診断での違反が目立った。休日労働や深夜労働の割増賃金未払いなども見つかった。

 監督実施は主に2月3月に行われた。それによると労働時間での法令違反が48.5%と95の事業所で見られた。健康診断については19.9%、39事業所が違反。休日については7.7%にあたる15事業所で違反があった。

 バス運転者に関しては改善基準が示されており、4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は原則65時間以内で労使協定を締結した場合でも71.5時間までになっているが、1か月に約130時間の時間外労働を行わせている事例もあった。

 また1日の拘束時間は原則13時間以内で、延長の場合も16時間以内が改善基準で示されているが、特定の運転者で約18時間のケースがあったという。

 また常時使用の労働者への定期健康診断や雇入時の健康診断、深夜業に従事する労働者に対する健康診断を行っていない事業者もあった。厚労省では、これら法令違反に対し是正勧告書を交付、指導したとしている。(編集担当:森高龍二)