働く主婦をサポートする制度となるか?配偶者手当の見直しが始まる

2016年04月28日 08:56

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厚生労働省が配偶者手当について見直しが望ましいという報告書をまとめた。これは高度経済成長機に作られた制度であり、現在とは社会情勢が異なるため、手当の割り振り方も変化を求められている。家計に直接関わる議題だけに注目を浴びることになりそうだ。

 厚生労働省が配偶者手当について、見直しを開始したことを報告書にまとめた。その背景に、パートタイマーの専業主婦などが103万円を超えると配偶者手当がもらえないなどの理由から、就労時間を制限する動きが増加していることがあげられている。

 配偶者手当とは、高度経済成長期に確立した制度だ。当時は「男は仕事、女は家事」という時代だった。それが功を奏して日本の経済を成長させ、家計を支えてきたことは周知の事実だが、社会情勢は現在も日々変化し続けている。

 共働きの家庭が増え、未婚率は上昇していった。また、非正規雇用と呼ばれる派遣労働者、パートタイム労働者も増加し続けている。配偶者手当の対象である既婚男性の正社員率は今や労働者の約3割にしか該当しない。従業員に必要な手当に配偶者手当が当てはまらなくなってきているのが現実だ。

 さらに配偶者手当の見直し報告書には、女性の能力が発揮されづらい状況を発生させていると指摘されている。

 トヨタは2015年から、この状況を受けて配偶者手当を廃止の動きを見せている。新しく家族手当を開始した。これは配偶者ではなく、子ども一人につき手当を給付するという制度で、労使協定で協議が行われた。段階的に取り組むというこの動きは各企業の動きを一歩後押しした形となった。

 だが、一方で配偶者制度がなくなると困る労働者もいることは指摘されている。そのため、メトロ電気工業では配偶者手当は廃止せず、新たに子供への手当を増額した。

 あくまでも国の狙いは女性の就労を目指すことだ。配偶者手当の見直しの背景には、古い手当を廃止するだけではなく、国全体の福利厚生制度の改善が求められている。(編集担当:久保田雄城)