若者の○○離れ 今度は地方高校生の東京離れがはじまる?

2016年05月15日 12:10

画・若者の○○離れ 今度は地方高校生の東京離れか_はし_まる?

仕送りの負担などから、親が学生を東京に出さない傾向が強まりつつある。また、子どもの方も苦学するよりも親の経済力に頼れる地元の魅力が大きいと感じるようになった傾向があるようだ。

 若者たちに東京離れの傾向を出はじめているようだ。景気が悪い状態が長く続き、親世代が子世代を東京など遠くの大学へ出せなくなったことや、若者たちが知らない場所で暮らすことに対し恐怖心を感じていることなどが理由にあげられる。

 今年春の島根県立松江南高校の進路指導室前には、島根大学は55人、岡山大学16人、鳥取大学16人と大学合格者数が書かれていた。一方、東京の大学への進学希望者、または進学した生徒は少なく、全体で国立大学は4人の合格者が出るのみだった。

 その理由を経済面から子どもを遠方に出さない親が増えたと指摘する識者もいる。地元大学に進学した場合、国立だと授業料は年間約54万円。30年前の2倍を超えている。

 近年の若者のエネルギーは外に出ていかないことも東京離れの原因と考えられている。地元や実家という行動範囲での人間関係を好む場合が非常に多い。東京に出て行った若者たちですら、大切なものはなにかという質問に対して「地元の友人」という答えを出す。固定した人間関係で満足感を覚え、新たに友だちを作って本音を話そうという考えに至らなくなっているのだ。

 こうした思考は、インターネットの普及や情報化社会といった時代背景も影響していると考えられる。以前は地方都市と東京では情報量に格差が生まれていたが、インターネットの普及に伴い地方都市でも東京と変わらないレベルの情報が瞬時に得られるようになった。地元にいても情報を手に入れることが可能となれば、ますます若者は地元から離れなくなる。

 東京の大学側は学生の確保に奔走している。早稲田大学では09年からは首都圏以外の高校出身者に対して年40万円の給付を行った。慶應義塾大学も親の所得の条件を満たす学生に対し、年60万円から90万円の給付を12年から開始した。(編集担当:久保田雄城)