「歩きスマホ」が問題になっているのは日本だけではない。欧米やアジアでも歩きスマホは日常の風景であり、事故や事件が頻発しているという。日本においても、自治体による路上喫煙禁止条例のように、何らかの罰則が設けられる日が来るだろうか。
「歩きスマホ」が問題になっているのは日本だけではない。欧米やアジアでも歩きスマホは日常の風景であり、事故や事件が頻発しているという。ドイツで毎年選ばれている昨年の若者の新語は「Smombie」。「smartphone zombie」の略語で、スマホに夢中になる人の姿があまりにも奇異であることから「ゾンビ」と称された。
ドイツでは、ヘッドホンをしながら歩きスマホをしていた15歳の少女がトラム(路面電車)と接触し、死亡するという事故が起きた。歩きスマホは視野が狭くなる上に、神経がスマホに集中しているため、周囲の危機を察知してからの対応が遅れてしまい、イヤホンなどで耳を塞げばさらにリスクが高まる。歩きスマホをしている人の多くは危険であることを頭では理解しているものの、やめられない人が多いという。
今年4月、ドイツのバイエルン州のアウクスブルクでは、試験的な取り組みとして歩きスマホ歩行者とトラムの接触を防ぐために信号灯を道路に埋め込んだ。スマホを見るために下を向いていても赤信号が目に入るようになる。
また、アメリカのアイダホ州のレックスバーグでは、横断中の歩きスマホに50ドル、2度目以降は150ドル、ニュージャージー州では歩きスマホでの信号無視で54ドルの罰金を課している。
東京消防庁によると管内で2010年から14年の間に、歩きながら・自転車に乗りながら等の携帯電話やスマートフォン等に関わる事故で、152人が救急搬送されたという。事故種別ごとの救急搬送人員では、「ぶつかる(62人)」が最も多く、次いで「ころぶ(43人)」「落ちる(38人)」。この3つの種別で約96%を占めている。救急搬送するほどではない事故を含めると、何百倍にも増えそうだ。
日本においても、自治体による路上喫煙禁止条例のように、歩きスマホに対して何らかの罰則が設けられる日が来るだろうか。罰則がなくても、マナーとして歩きスマホをしないという意識が高まってほしいものである。身に危険が及び、周囲に迷惑を掛ける行為は、法律や条例で禁止されていなくても控えるべきだ。(編集担当:久保田雄城)