各地の博物館に続々 「刀剣女子」増加の背景

2016年05月22日 14:08

画・各地の博物館に続々 「刀剣女子」増加の背景

例え模擬刀であっても刀は「武器」であるため、銃刀法がかかわってくるので注意が必要だ。真剣の場合は証明書を常に携帯している必要があるし、模擬刀の場合も袋に入れるなどして「すぐに使えない」状態にしておかなければいけない。

 全国の博物館や資料館、神社に足を運び名刀を鑑賞する若い女性が増えている。「刀剣女子」と呼ばれる彼女たちは、事前に鑑賞のポイントや時代背景をしっかり把握してから訪れる勉強熱心さが特徴だ。「こんなに綺麗だなんて」「鋭さと美しさに驚いた」「ドキドキしっぱなしです」と、日本刀の魅力を語る彼女たち。昨年の流行語大賞候補にもノミネートされた「刀剣女子」。急増の背景には、あるゲームの存在があった。
 
 栃木県の足利市文化財団が1~2月に開催した所蔵品展には、前年の倍となる3200人が来場した。目立ったのは10代~30代の女性。彼女たちのお目当ては刀工・堀川国広が安土桃山時代に打った脇差し「日州住信濃守国広作」だった。あまりの人気ぶりに、同財団は6月に初の再展示を行うことを決めている。

 人気のきっかけはオンラインゲーム「刀剣乱舞」だといわれている。刀剣を擬人化した男性キャラクターが戦うもので、前述の刀も刀派「堀川派」のキャラクターとして登場しているのだ。堀川国広ゆかりの地である足利学校が所蔵品展に先駆けて日州住信濃守国広作を展示する旨をTwitterで告知すると累計3500件もの反響が寄せられた。コメントに「本物に会える」「会いに行かなきゃ」と、刀と「会う」という表現が目立つのもゲームの影響のようだ。

 急激に増えた若い来場者に戸惑いつつも「客層が広がるのはうれしい」と歓迎しているのは福岡市にある博物館。1月に国宝の刀「圧切長谷部」を展示したところ、初日の開館前に約100人の女性が外に並んでいたという。開館してからも企画展示室の前は1~2時間待ちの行列となり、来場者は昨年の4倍となった。

 さらに「会う」だけでは満足できなくなり、実際に購入してしまう女性も多いというから驚きだ。「刀剣乱舞」に登場する刀たちはそのほとんどが国宝クラスなので、もちろん一般で所有することはできない。そこで模造刀を数万円で購入し、自宅で鑑賞したり自分で持ってポーズをとったりして楽しむのだという。

 神奈川県にある模造刀販売店では昨年から注文が一気に増えたそうで、そのほとんどが女性だという。「たまに男性の方も購入されますが、女性へのプレゼント用ということが多いですね」。ブームはまだしばらく続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)