「国民の信任を得て法案を秋の臨時国会に」総理

2016年06月02日 07:45

安倍晋三総理は1日夕の記者会見で、消費税増税の実施を2019年10月に、来年4月予定より2年半先送りしたい旨を表明し、先送りの理由については「世界経済のリスクへの対応という『新しい判断』によるもので、そのため、参院選挙での改選議席の過半数を与党で得て、『国民の信任を得たうえで、関連法案を秋の臨時国会に提出したい』また、アベノミクスを一層加速させていく考えだ」と先送りに理解を求めた。

 記者会見で、安倍総理は経済の現況について「2017年4月に消費税率をあげるために必要な経済状況をつくりあげると約束し、アベノミクスを強力に進めてきた。現在、有効求人倍率は24年ぶりの高い水準になっている。北海道から沖縄まで47都道府県のすべてで1倍を超えた。史上初めての出来事だ。1人の求職者に1つ以上の仕事があるという状況をつくった。正社員もリーマンショック以来、8年ぶりに増加に転じた。高校生の今春の就職率は24年ぶりの高さ。大学生の就職率も過去最高になった。雇用を作り所得を増やす。アベノミクスは順調に結果を出している」と強調した。

 そのうえで、世界経済について「1年余りで想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。最大の懸念は中国など新興国経済にかげりが見えること。世界経済が成長のエンジンを失いかねない。世界的な需要低迷、成長の減速が懸念される。世界経済が危機に陥ることを回避するため、すべての政策対応を行うことをG7で合意し、首脳宣言に明記された」と説明。

 安倍総理は「リーマンショックのような金融不安とは違うが、経験から学び、リスクには備えなければならない。G7の合意に基づき、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきであると判断した」と語った。

 また、安倍総理は「2020年の財政健全化目標(プライマリーバランス黒字化)はしっかり堅持する。そのため2019年10月には消費税率を10%に引き上げる。その際に軽減税率も実施する」と説明した。(編集担当:森高龍二)