NTTドコモらが人工知能を活用したリアルタイム移動需要予測の実証実験を開始

2016年06月02日 07:53

 NTTドコモ<9437>は、東京無線協同組合、富士通<6702>、富士通テンと協力して、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計に、東京無線のタクシー運行データ等をかけ合わせて分析することで、タクシーの利用需要をリアルタイムに予測する「移動需要予測技術」を新たに開発し、交通網の効率化をめざす世界初の実証実験を2016年6月1日より開始した。

 「移動需要予測技術」は、人口統計や運行データのほか、気象データや周辺施設(POI)データ等に機械学習等の人工知能技術を適用して、タクシーの需要予測モデルを作成し、現在から30分後の乗車数を予測するもの。実験で、その予測情報を東京無線のタクシードライバーに音声、文字、タブレットの地図上に分布して表示するなどして提供することで、実運用を通じて有効性を判断する。このタクシー車両の運行データは富士通テンのタクシー配車システムと富士通が提供する位置情報サービス基盤「SPATIOWL(スペーシオウル)」により収集するもの。

 また、この実験において予測情報の精度の技術検証を行い「移動需要予測技術」を確立し、将来的に全国のタクシー会社の運行データを追加することで、さまざまなエリアでのサービス提供を目指すという。そのほか、予測情報はタクシー会社の既存の配車システムと連携し、新たな設備を設置することなく低コストでスムーズに「移動需要予測技術」の導入が可能となるよう検討する。

 近年、海外からの観光需要の高まりにより、多くの観光客が集まり交通需要が高まることが想定される。その反面、少子高齢化による将来のドライバー不足も想定される。将来的には、「移動需要予測技術」を実用化することで、タクシー売り上げ増に留まらず、運行効率化やドライバー配置の適正化によるタクシー供給不足の一助となると考えているとしている。

 実験で使用する人口統計は、エリア毎や属性毎の集団の人数を示す情報であり、お客様個人を特定できる情報を一切含まない。したがって、この人口統計により利用者の行動が他人に知られることはないという。なお、実験で使用する人口統計は、モバイル空間統計ガイドラインを遵守しているとしている。(編集担当:慶尾六郎)