【今週の振り返り】リスク回避の円高を受けて1001円下落した週

2016年06月18日 20:27

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3月15日ではなく、6月23日に気をつけろ。英国のリスクを恐れ、世界最大の下落幅。東京市場という名の悲劇は、いつ幕を引く?「『今が最悪の状態』と言える間は、まだ最悪の状態ではない」(『リア王』)

 13日の日経平均は大幅に3日続落。前週末10日のNYダウは119ドル安の大幅続落。NASDAQ、S&P500も大幅マイナス。午後、英国の世論調査でEU離脱派が残留派を10%ポイントも上回ったと報道され、楽観論を吹き飛ばしリスク回避ムードがにわかに台頭。英国ポンド安、ユーロ安、ヨーロッパの株安が進んだ。原油先物価格は下落し終値49ドル台。6月のミシガン大学消費者態度指数速報値は94.3で、前月比-0.4ポイントだが市場予測は上回った。CME先物清算値は16290円。それでもドル円レートは107円近辺をキープし、ドルに対しては円高が急進せず。13日朝方の為替レートはドル円は106円台後半、ユーロ円は119円台後半だった。

 サッカーの欧州選手権開催中のフランスではなく、アメリカのフロリダ州でテロとみられる全米史上最悪の銃乱射事件発生。取引開始前に4~6月期の法人企業景気予測調査の結果が発表され、大企業全産業の景況判断指数(BSI)は-7.9で1~3月期の-3.2から悪化し2四半期連続のマイナス。7~9月期の見通しは+5.8。今年度の設備投資見通しが+3.8%増に大幅改善したのがその背景。

 日経平均は282円安の16319円で始まる。9時2分に16335円の高値をつけた後は、ズルズル下げ一方。気分は朝からリスクオフ。9時台のうちに16200円を割り込み、10時台も下げが続く。TOPIXは1300割れ。「端午節」の4連休が明けた上海市場はマイナスで始まるが徐々に下げ幅圧縮。5月の鉱工業生産は+6.0%で市場予測と一致。小売売上高は+10.0%で市場予測より0.1ポイント下。1~5月の固定資産投資は+9.6%で16年ぶりの低水準で市場予測を下回った。それでも総じて言えば堅調。ドル、ユーロとも為替の円高が止まらずドル円は106円を割りそうになり、日経平均は16100円も守りきれず10時58分に16095円まで下げる。そこで下げ止まるが11時台は16200円には届かず、前引けは432円安の16168円だった。

 上海市場はマイナス圏でも下げ幅を圧縮して午前の取引を終える。後場の日経平均は前引けより安く始まるが16100円台はキープ。1時台前半は16100円台前半で動きが乏しくなる。しかし為替のドル円がとうとう106円を割り込んでGW中の5月3日以来の105円台をつけると、16100円を割り込み2時7分に16059円まで下落する。再開した上海市場は午前と逆に下げ幅を拡大して-1%を超える。しかし為替が105円台でも16000円割れの事態は起こらない。されど終盤はジリジリ下がり続け、最後は582円安の16019円で安値引け。6月23日の英国の国民投票が気になるばかりの「大英国逆フェア」な1日は、16000円をなんとか死守した。英国人以上に英国の行方を心配する日本市場。

 日経平均終値は582.18円安の16019.18円、TOPIX終値は-46.18の1284.54。売買高は18億株、売買代金は1兆8518億円で薄商い継続。値上がり銘柄数はたった40、値下がり銘柄数は1903。全33業種がマイナスで、その下位は鉱業、鉄鋼、その他金融、証券、精密機器、保険など。上海総合指数は最後までどんどん下げるばかりで3.21%安だった。

 14日の日経平均は4日続落。英国のブックメーカーの賭け率は「EU離脱」のほうが有力に。「ドゥームズ・デー(最後の審判の日)」まであと10日だがヨーロッパ市場は揃って大幅安。NYダウはプラスの時間帯もあったが、FOMC前でもありリスクオフが支配的で132ドル安。原油先物価格は乱高下したが、終値は48ドル台で3日続落とさえなかった。マージャー・マンデー(M&Aの月曜日)にマイクロソフトが262億ドルでリンクトインを買収というビッグな話題があったが、地合いが悪く6月23日にかき消された。VIX指数は20オーバーにはね上がり、アメリカの長期金利は低下、金先物は4日続伸。スイスフランと日本円が買われ、朝方の為替レートはドル円が106円台前半、ユーロ円が119円台後半と円高進行。CME先物清算値は16000円を割り込んで15920円だった。

 フロリダの銃乱射事件で、西部劇で有名なS&W(スミス&ウエッソン)はじめ銃器メーカー株が規制直前の駆け込み需要を期待されて上昇。昨年、軍用銃器製造の分社が破産したコルト(コルツ・マニュファクチュアリング・カンパニー)は非上場。ウインチェスターも経営破たんし、レミントンはサーベラスに買収され再建途上と、実態は斜陽産業。

 日経平均は17円安の16001円で始まる。16000円をはさんで動きプラスの時間帯もあったのは序盤だけ。高値は9時11分の16082円。ザラ場中の16000円割れは5月6日以来約1カ月ぶり。前場のドル円レートは106円をはさんで小さく浮いたり沈んだり。9時台後半には為替の円高とともに急落し15900円も割り込む。10時40分頃までは15900円台で推移。日本国債は消費増税延期を理由に格付けを下げられそうでもリスク回避先で、円、スイスフラン、金先物とともに買いを集め、長期金利は-0.170%まで下がって過去最低を更新。上海市場は序盤から乱高下したがプラスに。しかし日経平均は15800円も一時下回って、前引けは200円安の15818円だった。

 上海はプラスの時間が長かったがマイナスで午前中の取引を終える。後場の日経平均は再開直後から安値更新。0時42分に15762円まで下げる。新興市場も悪い。その後は16000円にあと少しで届かない静かな値動きが続く。1時30分に4月の鉱工業生産指数の確報値が発表され、前月比+0.5%の97.2で速報値の97.0(+0.3%)を上回った。稼働率指数は-1.0%の96.5。これを好感したのか、為替は動かなくても1時台後半に15800円を超えて15900円に迫る。売られ続けて売りあきると、さしたる好材料でなくても反応するという微妙な心理。しかしそれも2時までで、2時台前半は15800円をはさんだ膠着状態に戻った。再開した上海市場はプラスに浮上して上値追い。その後はプラスを維持。終盤は為替は円高方向でも15800円台後半まで伸び、そのまま終了した。160円安の15859円。週初めの2日間で742円も下げている。

 日経平均終値は160.18円安の15859.00円、TOPIX終値は-12.61の1271.93。売買高は19億株、売買代金は1兆9892億円。値上がり銘柄数は227、値下がり銘柄数は1670。プラスは東京電力<9501>が都市ガス事業に進出するニュースがあった電気・ガス1業種のみ。都市ガスは来年4月に小売自由化。マイナスは32業種で、その下位は証券、銀行、水産・農林、医薬品、食料品、海運など。上海総合指数は終盤上がって0.32%高だった。