【今週の振り返り】世界をゆるがした英国の国民投票の悲劇的結末

2016年06月25日 20:14

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映画「ブレクジット」のクライマックス。ヒロインの衝撃的な死でストーリー急展開。最後までハラハラ、ドキドキさせた結末は、悲劇的結末「カタストロフィ」だった

 ところがBBCが速報で「離脱派リード」を報じたため、10時台になると日経平均はマイナスに落ちる。それも半端な下げ方ではなく、10時9分の15757円まで約500円も一気に下落。為替のドル円も106円台から103円台まで3円近い円高急進。ある程度は予想されたのに、うろたえぶりがひどい。それも、BBCが「残留派逆転」の速報を出すとV字回復し、10時40分頃には日経平均はプラスに戻った。ドル円も少し遅れて105円台回復。この大人げない周章狼狽で、デイトレで何人が大儲けし、何人が大損したことだろう。上海市場はマイナスで始まってプラスに浮上し、東京市場とほぼシンクロ。11時前に「離脱派わずかにリード」の速報が出るとドル円は104円台になり、日経平均も上海総合指数も揃ってマイナスになる。この時点の不安の源はこれから票があく「ロンドンの雨」で、残留派が多い若年層の出足に雨が影響したのではないかというもの。だが、1年じゅう天気が悪いのが当たり前の英国に住んで、「雨だから投票に行くのをやめる」ほど若年層は軟弱で気まぐれなのか? 開票作業が遅れ気味な中、離脱派のリードが変わらず、日経平均は11時台に再び16000円割れ。ドル円は103円台。上海も下げ幅拡大。11時28分には15719円の安値更新を喫し、前引けは495円安の15742円だった。

 上海市場はマイナス幅を拡大して午前中の取引を終了。昼休み中に起きたことはまさに「世紀末」。開票速報は「離脱派優勢」が変わらず、為替のドル円は一時、2年7ヵ月ぶりに100円を割って99円台。朝から6円以上の円高になる。ユーロ円は109円台。大阪取引所の日経平均先物日中取引は売買停止のサーキットブレーカー発動寸前に。後場の日経平均は800円を超えるマイナスの15400円台で始まり、15300円、15200円を割り込んでアッと言う間に下落幅が1000円を超える。BBCが「離脱決定の見通し」と報じると、日経平均は15000円も割って0時47分、14890円まで下落した。0時50分に日経平均先物はサーキットブレーカーがついに発動し10分間続く。現物は15200円付近まで戻す。

 1時台前半は、為替のドル円は101円付近、日経平均は15000円の少し上で横ばい。麻生財務大臣が緊急記者会見を開いたが、「緊張感をもってマーケットを注視する」「為替介入についてはコメントすることはない」と、まるで他人事。日本時間の2時、BBCが「離脱への投票が過半数を超えた」と報道。ついに英国のEU離脱が決した。再び100円を割り込んだ為替の円高進行とともに日経平均も下落し、2時2分に15864円の安値更新。東証1部の全銘柄がマイナスになるという珍事まで起きる。上海市場は再開後すぐ下げ幅を拡大するが、その後は徐々に戻していく。2時台のドル円も区切りがついたように100円、101円、102円と円安方向に戻るが、日経平均はショックから立ち直れず15000円台になかなか戻れない。結局、終値は1286円安の14952円で2月12日の年初来安値を更新し1年8ヵ月ぶりの安値。日経平均の下落率は16年2ヵ月ぶりの歴代9位だった。

 日経平均終値は1286.33円安の14952.02円、TOPIX終値は-94.23の1204.48。売買高は36億株、売買代金は3兆3383億円で2月以来の大商い。値上がり銘柄数は6、値下がり銘柄数は1954、変わらずは4。全33業種がマイナスで、その下位は保険、証券、鉱業、その他金融、輸送用機器、ガラス・土石など。下げ幅が一番小さかったのは小売。上海総合指数は1.30%安で終えていた。

 今週の星取は3勝2敗。前週末17日の終値15599.66円から647.64円下落して今週の取引を終えた。木曜日まで週間騰落は大幅なプラスだったが、悪夢の金曜日に全てがひっくり返り、4週連続のマイナスになった。(編集担当:寺尾淳)