経済産業省は、企業らでIoTやAIなどの採用が盛んになる中、2020年には約37万人、30年には約79万人のIT人材が不足すると推計。教育や資格制度、人材の多様性と流動性の向上に加えて、過酷とされる労働環境の改善にも期待したい。
経済産業省が発表した推計によると、日本のIT人材が約17万人不足していることがわかった。企業らでモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの採用が盛んになる中、2020年には約37万人、30年には約79万人のIT人材が不足すると推計。需要が増える中、現在約92万人いるIT人材が30年には約86万人にまで減少する恐れがある。
東京五輪・パラリンピックで求人が増えるだろう情報セキュリティ人材については、不足人数が現在の約13万人から20年には約19万人になる見通し。IoTやAIなどの活用に携わるIT人材も不足人数が急増し、現在の約1万5,000人が20年に約5万人にまで増えるとした。
一方、総務省の情報通信審議会は6月20日、今後10年間でITの専門知識を持つ人材を約200万人に増やす目標などを盛り込んだ報告事案をまとめた。11年の調査では日本のIT人材はアメリカの約3分の1、中国の約2分の1にとどまる約103万人で、世界で競争が激化し需要が高まるとみられる中、IT人材の拡大が急務だ。
部会の会合では、「省庁横断で政府をあげて取り組むべき」「時代の状況に合わせて異なるレベルの技術者の育成が必要」など人材育成の重要性が指摘された。ネットワークのソフト化、データ分析、情報セキュリティ対策などの技術を対象に、資格制度の創設を検討すべきとしている。
また、文部科学省は6月16日、小学校で必修化が予定されているプログラミング教育のあり方について、全3回開かれた「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」での議論を取りまとめた。
IT人材を確保するためには、教育や資格制度、人材の多様性と流動性の向上に加えて、過酷とされる労働環境の改善も課題だ。長時間労働を当たり前とする風潮などが要因で、転職においてはIT業界離れが顕著である。「きつい、帰れない、給料が安い、規則が厳しい、結婚できない、休暇がとれない、化粧がのらない」の「7K」のイメージを払拭し、業界の魅力を高める対策を打ち出せるだろうか。(編集担当:久保田雄城)