ロッシが主宰するスクールにヤマハの若手ライダー5人を派遣

2016年07月02日 19:55

ロッシ

ロッシはレース活動とは別に、2016年から3年間ヤマハ発動機とオフィシャル・パートナーおよび、モーターサイクルのオフィシャル・サプライヤー契約を結んでいる(画像はトレーニングが行われるアカデミーコース)

 MotoGPの7戦カタルニアGPで優勝するなど、今季2勝目を果たしているバレンティーノ・ロッシ選手。ロッシはレース活動とは別に、2014年から「VR46 Riders Academy」を主宰しており、2016年にはヤマハ発動機<7272>と3年間のオフィシャル・パートナーおよび、モーターサイクルのオフィシャル・サプライヤー契約を結んでいる。この「VR46 Riders Academy」とは、イタリア人の若手ライダーの活動をサポートするために開設した組織のことだ。

 今回、ヤマハがアジアロードレース選手権・アジア・プロダクション250(ARRC・AP250)に参戦中のライダーから、5名を選出し「VR46 Riders Academy」に派遣する。5名はロッシ選手の故郷でもある、イタリア、タヴッリアに滞在し、「THE MASTER CAMP」というトレーニングプログラムを全2回、各1週間受ける。指導はロッシやアカデミーのスタッフがあたる。

 選ばれたのは16~19歳までの5人で、国籍はそれぞれタイ人、インドネシア人2名、日本人、マレーシア人2名となる。中でも期待したいのが、2016年ARRC・AP250でランキング8位(第3戦終了時)の南本宗一郎選手(16歳)と、インドネシア人のイマニュエル・プトラ・プラトナ選手(19歳)だ。特にプラトナ選手は2014年の鈴鹿4時間耐久で優勝したチームのライダーでもある実力者で、アジア・アセアンで活躍したライダーに贈られる、YAMAHA RIDER AWARDS 2015 “The Spirit of Challenge”も受賞している。

 MotoGPで活躍しているライダーの国籍を見ると、イタリア、スペイン、イギリスが圧倒的に多く、アセアンのライダーは少ない。ただ、2014年の鈴鹿4時間耐久では、ヤマハからインドネシア2チーム、マレーシア1チームが出場し、インドネシアチームが見事にワンツーフィニッシュを果たすなど、実力のあるアセアンのライダーは確実に増えているのも事実。

 またヤマハは2015年に、アセアン地域の各国の現地法人と連携し、同年アジアロードレース選手権(ARRC)に新設された250ccクラスに、7チーム13名が参戦するなど、アセアンを舞台に、アセアンのライダーを積極的に支援してきた実績がある。

 さらにヤマハは2016年には、マレーシア、タイ、日本、インドネシア、インドと各国で戦われる、アジアロードレース選手権の最高峰であるスーパースポーツ600(SS600)クラスに、新たにチームを発足し、マレーシア、タイのライダーが活躍している。ちなみに、SS600クラス出身者は世界選手権で活躍しているライダーも多く、世界にむけてのステップアップの登竜門の一つになっている。

 特にインドネシアは世界第3位の二輪車の市場でもあり、生活の足として使われていたスクーターから、近年ではスポーツタイプへと人気がシフトしている。また、レース活動への関心も高まっていることからも、実力のあるライダーが次々と誕生しているのだ。「VR46 Riders Academy」でトレーニングを受けた若手アセアンライダーたちが、もうすぐ開催される鈴鹿8時間耐久レースや、二輪レース最高峰のMotoGPで活躍する日はそう遠くはないはずだ。(編集担当:鈴木博之)