総務省は6月29日、「2015年国勢調査抽出速報集計結果」を公表した。この年の国勢調査によると、2016年10月1日現在の日本の総人口は1億2711万人だった。5年前の2010調査と比較すると、94万7000人減少したわけだ。総人口を男女別にみると、男性が6182万9000人(総人口の48.6%)、女性が6528 万1000人(同51.4%)となっており、女性の方が345 万2000人多い。
15歳未満の人口は、総人口の12.7%にあたる1586万4000人で、国勢調査開始以来、過去最少を記録した。
一方、65歳以上人口は、3342万2000人(構成比26.7%)で過去最高となった。諸外国と比べると、総人口に占める65歳以上人口の割合は、イタリア(22.4%)やドイツ(21.2%)よりも高く、世界でもっとも高い水準だ。
65歳以上人口のうち、単独世帯の人口は562万6000人となっており65歳以上人口に占める割合は16.8%とだ。 男女別では、男性が179万7000人、女性が383万人で、女性が男性の約2倍となっている。また、65歳以上の男性のうち8人に1人、65歳以上の女性のうち5人に1人がひとり暮らしとなっている。老人ホームなどに居住する「社会施設の入所者」は168万5000人となり、2010年調査の120万1000人と比べると約1.4倍となった。
こうした少子高齢化の影響は労働力人口の減少にも現れ、6075万人と前回の2010年調査と比べ295万人減少した。労働力人口の6000万人割れは、差し迫った問題だ。なお、増加する介護福祉分野などの人手不足を補うため女性とシニア層が働き手として存在感を高めている。労働力率を男女別にみると、男性が70.8%に対して、女性が49.8%だった。2010年調査と比べると、男性が3.0ポイント低下しているのに対し、女性は0.2ポイント上昇した。今回の調査で、就業者全体に占める女性と65歳以上の高齢者の割合が初めて5割を超えたことが分かった。
働いている人である就業者数で見ても、男性が10年比で4.3%減るなか、女性はほぼ横ばいだった。働く高齢者の増加も顕著で、65歳以上の就業者数は男女計で758万人と2010年と比べ27%増えた。
女性の就労が拡大する一方、残る課題は子育てと仕事の両立だ。女性の労働力率を年代別にみると25~29歳の80.9%をピークに、30代は72.4%まで低下。結婚や出産を機に退職してしまうためだ。育児後に復職して労働力率は再び上昇し、40~44歳は75.7%、45~49歳は78.0%まで上昇する。出産および子育てと就業が両立できれば、「M字カーブ」が改称され、日本経済の下支えにつながる可能性がある。
男女間で雇用形態の違いも依然大きい。男性の雇用者のうち非正規の割合は18%だが、女性は54%と半数を超えた。非正規の割合は25~29歳では3割程度だが、40~44歳で5割を超える。
一般世帯数を都道府県別にみると、東京都が656万6000世帯と最も多く、次いで神奈川県が391万3000世帯、大阪府382万世帯となっている。一方、鳥取県が20万6000世帯と最も少ない。前回調査と比べ増加率が大きかったのは沖縄県6.4%増、次いで東京都の2.9%増、神奈川県の2.2%増となっている。
一般世帯の1世帯当たり人員を都道府県別にみると、山形県が2.87人と最も多く、次福井県2.85人、富山県2.83人と続く。一方で、東京都は2.03人と最も少なく、北海道2.15人、高知県2.24人となった。(編集担当:吉田恒)