手帳型スマホケースは液晶画面をカバーできるほか、Suicaなどのカード類も収納できるため人気が高い。利用者は女性が多かったが、最近ではビジネスシーンで使えるスタイリッシュなデザインも増え、支持を拡大させている
形も色も材質さまざまで、いまや一大産業となっているスマートフォンケース。鞄の中に入れているときや万が一落としてしまったときに本体に傷がつくのを防ぐ効果がある。ここ数年は手帳型やカラフルなシリコン製のものなどデザイン性やかわいらしさが高いものが人気で、「保護」から「ファッション」のアイテムとなりつつある。
一方で、「スマホケースは使わない」という人も一定数いる。「今のスマホは頑丈」「厚みが増してしまう」「端末そのままのデザインを楽しみたい」などさまざまな理由があげられているが、その中には「放熱が阻害される」という意見もある。
スマホもパソコンと同様にCPUやバッテリーが熱を持っている。普通に使っている分には放熱さているが、ケースをつけることによってそれが阻害されるということだ。ケースによく使われているプラスチックや樹脂製の素材は熱を伝えにくい。電池は通常、使用中や充電中の熱を外部へ放熱することで温度を一定に保っているので、それができないことで電池を劣化させ、結果的に使用時のバッテリーの減りが早くなってしまうというのだ。
安全面で懸念を見せる人もいる。放熱できないことで電池が劣化するだけでなく、発火などの危険性が増すというのだ。スマホに使われているリチウムイオン電池の許容温度(安全温度)の目安となる数字は、使用時で60℃、充電時で45℃とされている。ケースをつけない状態で持って「温かい」と感じる電池の温度は50℃ほどとされている。つまりケース越しでも温かいと感じるときは、許容温度をかなり超えた状態にあるということだ。実際にリチウム電池が過熱された結果、発火や爆発などの事故が起きたという報告を経済産業省が複数公表している。しかしこの報告はいずれも従来型携帯電話(ガラケー)によるもので、スマートフォンの事故はまだ一度も報告されていないのが実情だ。
とはいえ、熱を持つことで電池が劣化するという話は少なからず事実だろう。電池は長持ちさせたいけど端末に傷をつけたくない・・・という人は、側面部分だけにはめるバンパータイプのカバーを選ぶという手もある。背面を覆わないため放熱が阻害されにくく、落としたときの衝撃からもある程度守ることができる。また、お気に入りのケースを使いたいという人は少し面倒かもしれないが、充電時や長時間連続して使うときは取り外すと電池の劣化を遅らせることができるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)