中央最低賃金審議会は28日、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について、全国加重平均で時給24円、率にして3%引き上げを厚生労働大臣に答申した。今後、各地方最低賃金審議会で参考にされ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申されて各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定する。引き上げ額は全都道府県で20円を超える目安額となっている。目安通りに引き上げられれば全国平均で時給は822円になる。
各都道府県の引き上げ目安は千葉、東京、神奈川、愛知、大阪がAランクの「25円」。茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島がBランクの「24円」。
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡がCランクの「22円」。青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄がDランクの「21円」。
目安通りに改定されれば、東京では時給932円が、大阪では883円が最低賃金になる。一方、最も低い沖縄、宮崎、高知、鳥取は712円となり、全国で最低賃金が700円を下回るところはなくなる。ただ、東京とこれら4県との差は218円もある。
連合の逢見直人事務局長は「連合が求める『誰でも1000円』の早期実現に課題が残るものの、時間額表示に一本化した2002年以降で最も高い水準となった」と評した。
また「目安金額が従来と比較して高い水準にあることも踏まえ、地方最低賃金審議会に対して審議経過を正確に伝える必要があるとの労働者側の要請に応え、小委員会委員長名で『平成28年度の中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告についての補足説明』が示されたことも評価できる」とした。
逢見事務局長は「すべての働く者に最低賃金の引き上げを早期に波及させるため、10月1日発効に向けた地方最低賃金審議会での早期結審をめざす」としている。(編集担当:森高龍二)