■通期見通しを下方修正したデンソー上方修正したトヨタ紡織
2017年3月期の通期業績見通しは、デンソー<6902>は第1四半期の決算発表と同時に第2四半期と通期の業績見通しを下方修正した。通期の売上収益は1000億円減で前期比0.5%減から2.8%減に、営業利益は290億円減で0.9%減から10.0%減に、税引前利益は320億円減で1.5%減から10.7%減に、最終当期利益は320億円減で3.8%減から16.9%減に修正し、減収減益幅が拡大した。通期想定為替レートはドル円106円、ユーロ円117円で、ドル円は110円から106円へ4円、円高方向に修正した。円高による為替差損で採算の悪化を見込んでいるが、松井靖常務役員は「円高の影響だけを反映した」と話している。予想年間配当は120円で修正なし。
アイシン精機<7259>は4月の熊本地震で子会社のアイシン九州の工場が被災し、4月28日の決算発表時点では通期業績見通し、予想年間配当は未定だったが、5月26日にまず通期業績見通しを発表した。売上収益は4.7%増、営業利益は9.2%減、税引前利益は4.7%減、最終当期利益は10.3%減。予想年間配当については第1四半期決算発表時に100円と発表している。5月時点の通期の想定為替レートはドル円が105円、ユーロ円が120円だったが、7月にドル円を100円と、さらに円高方向に見直している。
豊田自動織機<6201>の通期業績見通しは、売上高1.9%減、営業利益10.9%減、経常利益4.5%減、当期純利益34.4%減の減収、大幅最終減益の見通し、予想年間配当120円とも修正なし。通期の想定為替レートはドル円105円、ユーロ円120円。為替の円高と新興国での不振で減収減益を見込んでいる。
トヨタ紡織<3116>は通期業績見通しを上方修正し、売上高は100億円増で6.1%減から6.8%減に、営業利益は45億円増で11.8%減から4.2%減に、経常利益は45億円増で6.5%減から1.6%増に、当期純利益は10億円増で643.5%増から669.1%増(約7.7倍)に、それぞれ変更した。予想年間配当36円は修正していない。為替レートは7月以降、ドル円100円、ユーロ円110円と想定している。北米、アジアでのトヨタ向けのシートの納入が当初の想定以上に伸びているので業績見通しを上方修正したという。最終利益は前期、子会社整理損を特別損失に計上した事情があり、その反動で大幅増になる。
ジェイテクト<6473>の通期業績見通しは、売上高7.1%減、営業利益26.8%減、経常利益24.9%減、当期純利益15.8%減の減収減益見通し、42円の予想年間配当とともに修正なし。円高のデメリットをもろに受ける。ステアリングは中国や東南アジアの新興国でふるわない。メキシコとアメリカで新工場が稼働し、日系メーカー向けに供給開始。
日本精工<6471>の通期業績見通しは、売上高5.7%減、営業利益27.4%減、税引前利益27.8%減、最終当期利益39.1%減の減収、2ケタ減益決算で修正なし。創立100周年記念配当10円を含めた38円の年間配当予想も変更していない。販売が比較的好調な自動車用ベアリング、電動パワステで今期どれだけ踏ん張れるか。
カルソニックカンセイ<7248>の通期業績見通しは、売上高5.1%減、営業利益2.0%増、経常利益7.6%増、当期純利益11.0%増の減収、2ケタ最終増益で、15円の予想年間配当とともに修正なし。通期想定為替レートはドル円105円、ユーロ円120円。日産が三菱自動車<7211>を傘下におさめるが、それによる効果は業績見通しには反映されていない。5月には日産が保有するカルソニック株全株の売却を検討と報じられた。(編集担当:寺尾淳)