今年から8月11日に国民の祝日として「山の日」が追加される。国土の約7割を森林が占める我が国において、山は生活と切っても切り離せない存在である。その一方で、林業従業者は減少傾向にあるほか、割安な輸入木材の増加で日本国内の木材供給の約7割は輸入に頼っている状況だ。そうしたなか、5月、政府は2025年の木材総需要を7900万m3と見通し、国産材の供給量を2014年実績の約1.7倍となる4000万m3にすることを目標とする森林・林業基本計画を閣議決定した。「CLT」と呼ばれる、耐震性でも注目される大型木製パネル建材の普及、木質バイオマス燃料やセルロースナノファイバーの利用など、非住宅建築物等の分野での木材利用を促進し新たな需要を創出する計画だ。また、拡大する需要に対応するため、供給体制を増大させるほか森林資源の循環利用を進め、林業の成長産業化を図るという。
帝国データバンクは、2016年6月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(146万社収録)から、2014年、2015 年決算(1~12月期決算)の売上高が判明した林業関連事業者 1616社を抽出して分析した。
2015年決算の1616社の売上高合計は約4502億7000万円で、2014年決算比で296億9700万円増(7.1%増)となった(前年売上高4205億7300万円)。1616社の年売上高の増減の内訳をみると増収は534 社(構成比33.0%)、減収は473社(同29.3%)、横ばい(増減が百万円未満)が609社(同37.7%)となった。
業種細分類別にみると、造林、育林を主とする事業者が762社(構成比47.2%)で約半数を占めた。その他は、森林組合(382社、同23.6%)や、原木生産業(282社、同17.5%)と続いた。また、業種細分類別に2015年の業績を見ると、増収企業の割合はいずれも3割台だったが、森林組合のみ減収企業の割合が4割を超えた。
地域別では、東北が322社(構成比19.9%)を占めトップとなり、九州(243 社、同15.0%)、北海道(230社、同14.2%)と続き、トップ3地域で全国の約半数(同49.2%)を占める。地域別に増収及び減収企業数を見てみると、北海道、近畿、中国の3地域で減収企業が増収企業を上回った。
代表者の年齢が判明した1140社を見ると、代表者が「60代」の事業者が457社(構成比40.1%)で最多となり、「40歳未満」が最少の23社(同2.0%)となった。林業関連事業者社長の平均年齢は64.4歳となり、全業種平均である 59.2歳(帝国データバンク:2016 年全国社長分析)を5.2歳上回り、他業種に比べ高齢化が進んでいることが判明したとしている。(編集担当:慶尾六郎)