【今週の振り返り】夏枯れの薄商い、小動きで185円下落した週

2016年08月27日 20:19

0205_025

ジャクソンホールをまつほの浦の夕なぎに、様子見の薄商いで身もこがれつつ。世の中にたえて日銀のETF買い707億円のなかりせば、後場の心はのどけからまし。

 25日の日経平均は反落。中古住宅販売件数が予想を下回り、ジャクソンホール待ちに加えて原油先物価格が46ドル台まで下落してNYダウは65ドル安と反落。NASDAQもマイナス。朝方の為替レートはドル円が100円台前半、ユーロ円が113円台前半で前日からの変化が乏しい。CME先物清算値は16540円。大阪夜間取引終値は16560円。

 日経平均始値は17円安の16580円。高値は0時33分の16628円。安値は9時25分の16520円。終値は41円安の16555円。小幅安で始まり9時台のうちに16520円まで下落するが、10時台は16550円近辺、50円安近辺で推移する。日銀のETF買いが発動されるかどうか微妙な水準。そのまま動かなくなってしまい前引けは42円安の16555円。前場の値幅は65円。後場は下げ幅を圧縮して始まり、お約束のようにプラスに浮上するが約20分限り。16500円台後半の小幅マイナス圏に戻って再び動かなくなる。期待しなければがっかりすることもないと「学習」したかのよう。その後は為替も動かず、手がかり難。小幅安・小動きのまま前引けと84銭違うだけの大引け。日中値幅は108円。ところが日銀はこの日、707億円のETF買いを実施していた。実施の判断基準はますますわからない。「気分次第」なのか?

 日経平均終値は41.35円安の16555.95円、TOPIX終値は-2.44の1304.27。売買高は13億株、売買代金は1兆7121億円。値上がり銘柄数は916、値下がり銘柄数は889でほぼ互角。プラスは11業種で、その上位は空運、保険、ゴム製品、証券、銀行、パルプ・紙など。マイナスは22業種で、その下位は非鉄金属、石油・石炭、鉱業、倉庫、医薬品、建設など。上海総合指数は0.56%安だった。

 26日の日経平均は大幅続落。耐久財受注は好調で原油先物価格は上昇したが、ジャクソンホールでのイエレン議長の講演待ちに加え、カンザスシティー連銀のジョージ総裁、ダラス連銀のカプラン総裁が早期利上げに前向きな発言をしてNYダウは33ドル安と続落。NASDAQもS&P500もマイナス。朝方の為替レートはドル円が100円台半ば、ユーロ円が113円台半ば。CME先物清算値は16505円。大阪夜間取引終値は16510円。

 日経平均始値は70円安の16485円。高値は9時0分開始直後の16490円。安値は0時30分の16320円。終値は195円安の16360円。取引時間前に消費者物価指数(CPI)が発表され、7月全国は99.6で前年同月比で0.5%下落し5カ月連続のマイナスで市場予測を下回った。8月東京都区部は99.7で0.4%のマイナス。「デフレ脱却、道遠し」の中、日経平均は16500円を割り込み安く始まる。この日は8月決算銘柄のファーストリテイリング<9983>や、9月1日にユニーGHD<8270>を吸収合併するファミリーマート<8028>をはじめ小売や外食など2月期決算銘柄の中間期(3~8月期)の「権利付き最終売買日」なので配当権利取りの動きが出るはずだが、動きは逆方向。梅雨明けが遅かったせいか、発表された小売セクターの夏の販売状況も良くない。9時台後半に16400円を割って10時すぎに安値をつけ、16373円まで下落する。その後は16400円前後で動きが小さくなるが、11時台に下げ幅を圧縮しても前引けは107円安の16448円だった。3ケタ安で日銀のETF買いを誘うには十分。前日は42円安で発動しているので、後場の日銀のETF買い発動が期待された。

 後場は為替が動かないのに安値更新の16320円で始まる。75日移動平均線の16342円を割り込み、5日高値16355円と8日安値16455円の間の「マド」を埋めた。マド埋め完了後は反発し1時までに16400円付近まで戻し、踊り場の後、1時台後半に16400円台後半まで上昇するが、2時台はまるで風船がしぼむように下がってしまう。金曜日に加えてイエレン議長の講演を前にしての利益確定売り。16400円を割り込み、安値更新はしないが16400円に戻れないまま終値は16360円で続落した。この日の主役は合併直前のファミリーマートとユニーGHD。日銀のETF買い707億円は律儀に入っていたが、その「神通力」はもはや失われたかのようだった。

 日経平均終値は195.24円安の16360.71円、TOPIX終値は-16.37の1287.90。売買高は15億株、売買代金は2兆391億円で今週初めての2兆円超え。値上がり銘柄数は350、値下がり銘柄数は1519。プラスは鉄鋼、化学工業の2業種。マイナスは31業種で、その下位は保険、輸送用機器、空運、医薬品、不動産、その他金融など。上海総合指数は0.06%高だった。

 今週の星取は2勝3敗。前週末19日の終値16545.82円から185.11円下落して今週の取引を終えた。大引け時点までのドル円の週間値幅は99.91~100.93円で1円2銭。日経平均終値の週間値幅は237円だったが25日までの4日間は10円しかなく、為替も株価も「動かない週」だった。

 今週は、一つの亡霊がマーケットを徘徊していた。「日銀のETF買い707億円」という亡霊が。亡霊をめぐって憶測や思惑が乱れ飛び、それにかく乱されるのも、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の時代にはふさわしい、のかもしれない。(編集担当:寺尾淳)