クラフトビールメーカー166社の所在地は「関東」が39社でトップ

2016年09月04日 20:37

 クラフトビールとは、小規模なビール醸造所で製造される地ビールのこと。業態としては“直販”、ブルワリー(醸造所)に併設されたビアパブやレストランで飲食に供されることが多く、出荷数量としては“外販”、樽生や瓶詰め、缶詰めが多い。小売店の店頭でもよく目につく商品だ。

 もともとは、94年の酒税法改正でビールの酒類製造免許取得のために定められている最低製造量が年間2000キロリットルから 60キロリットルへ引き下げられたのを機に新規参入が急増。全国に300社以上の地ビールメーカーがひしめく大混戦状態となったものの、第一次のブームは瞬く間に沈静化した経緯がある。

 しかし近年、地ビールはクラフトビールとなって新たに市民権を得た。市場の環境もメーカーのスタンスも異なり、クラフトビールは酒類市場の一ジャンルとして定着する可能性が高いという。そこで、 帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(146 万社収録)から、クラフトビール製造を主力事業として手がける「主業」64 社と、本業は別にあるが、ビール製造を行う「副業」102社を抽出し、クラフトビールメーカー166社について地域別、県別の分布や売上動向、主業メーカーの売上、従業員数、業歴、資本金額などの規模、副業メーカーの本業を調査・分析した。

 クラフトビールメーカー166社の地域別分布では、「関東」が39社でトップ。構成比は23.5%と4分の1近くを占めている。第2位は「中部」の30社(構成比 18.1%)。次いで「近畿」の21社(同12.7%)となっており、関東、中部、近畿の3大都市圏で合計90社、構成比54.2%を占める。ブルワリー(醸造所)からの直売が多いクラフトビールメーカーの業態の特性上、最大需要地にメーカーの過半数が集中している。

 一方、これを都道府県別にみると、トップは「北海道」の16 社。「東京都」と「新潟県」が11社でこれに次ぎ、「神奈川県」と「静岡県」が8社で同率4位、「埼玉県」と「兵庫県」が7社で同率6位となっている。

 主業64社の「売上分布」をみると、売上規模が「1億円未満」の小規模事業者が39社でトップ。構成比60.9%を占めている。次いで、「1億~10億円未満」が23社、構成比35.9%となっており、クラフトビール製造を主業とするメーカーの売上規模は、9割以上が10億円未満であることがわかる。

 また、「主業」64社に対して、本業は別にあるがビール製造も行う「副業」メーカーは102社ある。その“本業”を分析すると、「飲食店」が26社、構成比25.5%と全体の4分の1を占めている。レストランやビヤホール、ビヤパブ併設型は、クラフトビールのもっとも多い業態となっている。

 一方、「清酒製造」は17社、構成比16.7%を占めており、「蒸留酒・混成酒製造」の7件(6.9%)と「果実酒製造」の3社(2.9%)を合わせた「酒類製造」業者の合計では27社、構成比26.5%に達する。これはある意味当然であり、酒類製造のノウハウや設備を持つ日本酒メーカーや焼酎メーカーが、ビール製造も手掛ける事例は多いとしている。(編集担当:慶尾六郎)