久々の日銀の本格ETF買いが733億円(8月比+26億円)入った効果が後場あらわれた。プラスにはできなくても、前引け111円安を終値69円安に42円持ち上げる程度なら、できるようだ。鬼門の「メジャーSQ週の水曜日」だが、先物の朝一番8時45分の16880円までの下げで消化されてザラ場には持ち越されなかった模様。大阪取引所は7月に取引開始の時間を15分繰り上げている。
日経平均終値は69.54円安の17012.44円、TOPIX終値は-3.05の1349.53。売買高は19億株、売買代金は2兆1267億円。値上がり銘柄数は1054、値下がり銘柄数は746。プラスは14業種で、その上位は電気・ガス、その他製品、サービス、倉庫、建設、繊維など。卸売1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは18業種で、その下位は保険、銀行、パルプ・紙、海運、証券、非鉄金属など。上海総合指数は0.03%高だった。
8日の日経平均は続落。4営業日ぶりに終値で17000円の大台を割り込んだ。「ベージュブック(地区連銀経済報告)」は大統領選挙の行方を警戒しながら「アメリカ経済は緩やかな拡大」。注目のアップルの新製品発表会では9日予約受付開始、16日発売の「iPhone7」「iPhone7 Plus」や新型「Apple Watch」をお披露目。アップルの株価は上昇。しかし地区連銀総裁から早期利上げに積極的な発言が出てNYダウは11ドル安の小幅反落。NASDAQは4営業日続伸。朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が114円台半ば。CME先物清算値は16970円。大阪夜間取引終値は16960円。
日経平均始値は28円安の16984円。高値は9時3分の17001円。安値は1時35分の16836円。終値は53円安の16958円。取引開始前に発表された7月の国際収支速報値は、貿易収支は6139億円の黒字、経常収支は1兆9382億円の黒字で25カ月連続で黒字だったが、市場予測は下回った。4~6月期のGDP改定値は年率換算で速報値の+0.2%を上方修正して+0.7%と悪くない。日経平均は前日同様17000円割れで始まり、序盤17000円に瞬間タッチしただけで、小幅マイナス圏の16900円台後半で推移する。アップルの新製品発表会でiPhone向け新作ゲーム「スーパーマリオ・ラン」が披露され、アップル関連銘柄に任天堂<7974>が仲間入り。安倍首相に続きアップルまで味方して株価は大幅高。12月から「ラン」を配信するDeNA<2432>も大幅高。しかしiPhone7は「マイナーチェンジ」視され他のアップル関連銘柄は高安まちまち。ドル円が101円台後半で徐々に円高方向に向かい、10時台は水準を少し切り下げて16960~16980円。11時に8月の東京都心部オフィス空室率が発表され、前月比で0.04ポイント低下し3.90%。平均賃料は坪当たりで51円(0.28%)上昇し18322円で、32カ月連続プラス。日経平均は11時台も10時台の続きのような小動きで、前引けは41円安の16971円。日銀のETF買いが入るかどうか、微妙なところ。
後場は少し下がって1時台前半まで16900円台前半で安定的に推移したが、1時30分に東京商工リサーチが8月の全国企業倒産件数を発表すると急落し、一時16850円を割り込んだ。為替の円高も進行。倒産件数が6ヵ月ぶりに増加し、しかも前年同月比14.9%増と大幅で小売、不動産は3ヵ月連続増加だった。ほぼ同時刻、「マイナス金利の深掘りは十分ありうる」という中曽日銀副総裁の講演での発言にも銀行株を中心にネガティブに反応したが、すぐに為替が円安方向に反転し、日経平均は16900円台を回復。2時に発表された8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)は、現状判断指数は前月比0.5ポイント上昇し45.6、先行判断指数は0.3ポイント上昇し47.4で、ともに2ヵ月連続プラス。企業動向と雇用が改善して内閣府は基調判断を「持ち直しの兆しがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正したが、企業倒産の増加とは正反対の結果。経済指標が謎を残したまま2時台の日経平均は下げ幅をどんどん圧縮して一時17000円に接近するが、大引けではそれに42円足りなかった。東証マザーズ指数は9営業日ぶりに反落したが、日経ジャスダック平均は9営業日続伸。日銀のETF買いの「733億円」は入っていなかった。