厚生労働省は、2017年度から1日あたりの失業手当を大幅に引き上げる方針を固めた。企業が従業員に支払う最低賃金の上昇を含め、労働政策審議会の雇用保険部会で年内に決定する。上げ幅は100円~200円程度になると予想されている。
失業手当とは、自ら離職した時、解雇、倒産、定年などで職を失った時に、新たな仕事が見つかるまでの間に支給される給付金のことで、雇用保険を払っていた人が対象だ。また、雇用保険の被保険者期間にもルールがあり、離職日以前の2年間のうちに12ヶ月以上、倒産や解雇などでやむを得ず離職となった場合は6ヶ月以上の被保険者期間が必要である。
1日あたりの失業手当は「賃金日額(離職前の6ヶ月間の平均賃金)」×「賃金水準に応じた給付率(45~80%)」で算出する。賃金日額は下限と上限があり、下限は最低賃金を上回るのが原則だ。16年度の最低賃金(今年10月以降適用)は前年度より25円多い823円になり、最低賃金が賃金日額の加減を上回ることになる。
給付率は変わらないと見られ、給付日数の増加も難しそうだ。離職者の再就職支援では、失業手当の所定給付日数の増加を求める声が労働者側から上がっているが、使用者側が反発しているという。
失業手当の給付を受けるためには、退職した会社から離職票と雇用保険被保険者証を受け取り、ハローワークで受給資格を得る手続きを行わねばならない。そして受給説明会に参加して「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、失業の認定を受けるまでハローワークの窓口で職業相談をしたり職業紹介を受けるなどして求職活動を行う必要がある。
失業認定は、原則として4週間に1度の頻度で行われる。失業状態であることを確認するためだ。求職状況などを記入した失業認定申告書と雇用保険受給資格証を提出し、ようやく雇用保険を受け取ることができる。
失業手当は、もしもの時に頼りになる存在だ。受給額が増えるのは嬉しい話だが、失業手当を受け取るためには所定の条件を満たさねばならず、手続きが必要であることを覚えておきたい。(編集担当:久保田雄城)