仮想移動体通信事業者(MVNO)の格安スマホが勢いを増している。格安スマホは大手携帯キャリアの半額から3分の1以下という低料金が魅力で、MVNO間で値下げ競争が勃発していた。しかし、ここに来て新たな動きを見せている。各社が独自のプランで差別化を図ろうとしているのだ。
先行期間を経て10月から本格的にサービスを開始するLINEモバイル<3938>は「コミュニケーションフリー」をコンセプトに掲げ、LINEをはじめTwitterやFacebookといったSNSへの投稿をデータ通信料にカウントしないプランを用意している。LINEミュージックの使い放題プランも計画中とのこと。
U-mobileはLTE使い放題と自社の音楽配信サービス「スマホでUSEN」をセットにしたプラン「USEN MUSIC SIM」提供している。10月から導入する通信制限のない大容量プランにも、スマホでUSENをセットにした「U-mobile MAX 25GB エンタメプラス」を提供する予定という。
楽天モバイル<4755>は、子会社のIP通話アプリ「Viber」をセットにした「050データSIM powered by Viber」を9月下旬に開始する。3社ともに自社サービスのユーザーを拡大したいという思惑があるようだ。
通信品質を高めたプランもあり、mineoでは一般のユーザーとは別の専用帯域を割り当て高速接続を可能にする「プレミアムコース」の有料トライアルを10月から実施する。
MM総研の発表によると、2016年3月末時点でのMVNOサービスの総契約回線数は4,717万回線。15年3月末に比べて54.9%も増加した。独自サービス型SIMの契約回線数は前年比65.5%増の539.4万回線に達している。
独自サービス型SIMとは、独立系MVNOがSIMカードを使って独自の料金プランで提供するサービスのことで、格安スマホはこれにあたる。個人向け需要を中心に市場を拡大し、17年3月末には820万回線、18年3月末には1,770万回線にまで増えると予測されている。
利用者数が増えればプランの内容や数もより充実していくだろう。「容量を気にせず使いたい」「とにかく速度にこだわりたい」「SNSをよく使う」「スマホで音楽を聴く」など、スマホの使い方にマッチしたプランを選べば、節約効果が高くなるはずだ。(編集担当:久保田雄城)