アジア最大の総合福祉機器の見本市として定着した「国際福祉機器展(H.C.R.)」が先日、東京有明の東京ビッグサイトで開催された。43回目の今回、世界17カ国から527の企業・団体が参加、出展した(国内457社、海外70社)。
いま、福祉機器と呼ばれるものは、高齢社会の本格的な到来や障害者の社会的な自立のために、ますます重要となるシステムだ。H.C.R.では、ハンドメイドの自助具から最先端技術を活用した介護ロボット・福祉車両まで世界の福祉機器を一堂に集めたアジア最大規模の国際展示会。多彩なセミナー、イベントなどで最新の関連情報を発信してきた。
今年は3日間の開催期間に12万人超の来場者が訪れたが、そのうちの3割弱は、福祉介護関連業界に属さない一般来場者だった。こうした福祉機器に対する一般の関心の高さが示された数字といえそうだ。
体圧検知センサー「SRソフトビジョン」シリーズをはじめ、胸骨圧迫(心臓マッサージ)訓練評価システム「しんのすけくん」、現在開発中の歩行アシストスーツなどを展示した住友理工<5191>ブースで注目を集めていたのは、この9月に九州大学病院に先行販売を実施した「SRアクティブマットレス」だ。
これは2017年春に本格販売を開始する予定の床ずれ防止に貢献するマットレスで、九州大学医学部・古江増隆教授との共同研究で生まれた。住友理工が独自開発した圧力センサー「スマートラバー(SR)センサ」を応用した新製品である。
寝姿勢における体圧分布をSRセンサから得ることで、2段式エアセルの膨張・収縮動作をコントロールし、介護を必要とする人の体形や体格、寝姿勢に応じた除圧を行ない、体位変換ケアにおける介助者の負担を軽減するという製品だ。
大手住宅メーカーの大和ハウス<1925>は、ベッドから車いすへの移乗のような介護動作において、腰部にかかる負荷を軽減する介護支援ロボット「ロボットスーツHAL」を展示、介護支援業者の注目を集めた。ロボットはリチウムイオン電池を含んだ重量2.9kgと軽量だが、介護者の重負担を一気に軽減する。
H.C.R.に早くから注目してきた国内自動車メーカーも多くの福祉車両を展示した。トヨタ<7203>や日産<7201>といった大手メーカーのほか、改造専門業者による特注福祉車両が注目されるなか、軽自動車シェアトップを誇るダイハツ<6023>が得意の軽自動車福祉車両を多数展示した。なかでも、助手席側のセンターピラーがない同社のトールワゴン、タントの特徴を活かした昇降シート車「タント・ウエルカムシート」が好評だった。
次回、第44回国際福祉機器展 H.C.R. 2017は、2017年9月27~29日の3日間、東京ビッグサイトにて開催。福祉機器の開発と普及は今後とも世界的なテーマで、国際福祉機器展はさらなる注目を集めそうだ。(編集担当:吉田恒)