【今週の展望】中銀イベントも雇用統計も大統領選も結果待ち

2016年10月30日 20:20

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大統領選挙の投票日直前のFOMCに、金融政策変更を行った後の日銀会合。「たぶん何も出ない」と、ノーマークでやり過ごすことはできるか?

 それに対し、買われすぎ基準を少し超える程度なのは3指標で、25日騰落レシオは138.9(買われすぎ基準は130)、RSI(相対力指数)は72.6(買われすぎ基準は70)、ボリュームレシオは71.3(買われすぎ基準は70)。サイコロジカルラインは9勝3敗の75%で買われすぎ基準のボーダーライン上。唯一、25日移動平均乖離率は+3.0%で、買われすぎ基準の+4.0%までの間に余裕があった。オシレーター指標は日経平均があまり動かなければ時間の経過とともに低下していくので、今週17500円の手前にとどまれば、金曜日には買われすぎシグナルが3個程度は消灯していることだろう。

 10月21日時点の需給データは、信用買い残は14日時点から350億円減の2兆1482億円で2週ぶりの減少。信用倍率(貸借倍率)は2.96倍から2.76倍へ2週ぶりに減少。信用評価損益率は-12.09から-10.85へ2週ぶりに改善。悪化と改善の週替わりパターンが9月初旬から6週続いている。21日の裁定買い残は521億円増の8092億円で2週ぶりの増加。裁定売り残は7130億円で、「逆ざや」が解消した後に差が開いた。

 週間騰落が328.22円高と大きく上昇した10月17~21日の投資主体別株式売買動向を見ると、外国人は730億円の3週連続の買い越し、個人は1890億円の3週連続の売り越し、信託銀行は102億円の4週ぶりの買い越しだった。外国人が買って個人が売るのは、買われた週の典型的なパターン

 前週のカラ売り比率は24日が37.2%、25日が35.6%、26日が37.0%、27日が38.1%、28日が42.7%。28日は大引け時点でTOPIX型インデックスファンドの組入比率変更があり、2兆円割れが恒常化していた売買代金が突然3兆円を超えた「特別な日」だったので、それを考慮すると状況はノーマルだったと言っていい。それを裏付けるのが日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)で、前週はずっと18台のローレベルで恐怖は遠のき、28日終値は18.16で、21日終値の18.48からさらに0.32低下した。

 28日のNYダウは8.49ドル安だった。7月に「おとがめなし」にしたはずのFBIが民主党クリントン候補の私用メール問題の捜査を再開すると報じられ投資家心理が悪化し下落。トランプ陣営の最終兵器か? 経済指標はアメリカの7~9月期GDPは年率換算で+2.9%で、市場予測の+2.6%を上回ったが、10月のミシガン大学消費者態度指数確報値は市場予測も前月値も下回った。企業決算は同じ石油大手でもエクソンモービルは減収減益、シェブロンは黒字転換とまちまち。EPSが市場予測を下回ったアマゾンは安く、GEによるベーカー・ヒューズ買収の話は双方とも株価が上昇した。NY時間の為替レートはドル円104円台後半、ユーロ円115円近辺へ円高進行。CME先物清算値は17405円、大阪先物夜間取引終値は17390円だった。

 今週のマーケットは3日が祝日休場で、「日銀会合結果待ち」「FOMC結果待ち」「アメリカ雇用統計待ち」に「8日のアメリカ大統領選挙待ち」が加わり、待って待って待ち続け、縛りがかかって動けない週になるかもしれない。「カレンダーの都合」と言ってしまえばそれまでだが、10月初めから1000円近くも上昇した日経平均にとっては、大きく下げないよう調整しながら日数をこなして「買われすぎ」を解消する「日柄調整」のチャンスとも言える。失恋の痛みが時とともに薄らいぐように、マーケットでは「時間の経過」が状況を改善することは、よくある。高値追いし過熱したテクニカル指標も、時とともに「買われすぎ」度が次第に低下していく。

 前週はザラ場で17500円に届きそうで届かなかった。28日は為替のドル円が105円台に乗せたので、その後押しを受けて取引開始直後にあっさり乗せるかと思われたが、及ばなかった。それを考えると17500円は上値抵抗線。テクニカル的には25日線+2σの17494円が、そのすぐ手前にある。前週は高値警戒感を蹴散らして17300円も17400円もあっさり突破したが、今週はさすがに17500円で頭がつかえ、踊り場になるだろう。

 一方、下落の可能性は、海外市場で為替レートが円高に振れて始値が安く始まる以外に、ザラ場中の波乱要因としてはやはり中国リスクが怖い。特に11月1日に発表されるPMIは要警戒だ。とはいえ実態は中国経済のリスクそれ自体が怖いのではなく、それを売り材料に仕立てて日経平均に対して容赦ない先物主導の仕掛け売りをかける勢力と、それに便乗する勢力が怖いのだが……。

 今週、その暗躍を許した場合に日経平均はどこまで下がるのか? 何が下落のストッパーになるのか? そのメドとして考えられるのが17011円の9月のメジャーSQ値と、10月28日時点で16922円の25日移動平均線だろう。25日線は今週いくぶん上昇するので、心理的抵抗線でもある17000円が下値のメドとして適当と思われる。17000円割れを阻む火消し役は今さら言うまでもなく、日銀のETF買いだ。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは17000~17500円とみる。

 3月期決算銘柄の4~9月期決算の発表たけなわ。折返点の中間決算なので通期業績見通しの修正発表が多くなる。上方修正なら株価上昇、下方修正なら株価下落と単純にはいかず、「織り込み済み」でそれとは逆方向に動くこともある。ただそれは、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)のような指標に対して株価が偏った位置にあり、それを正常な方向に戻す動きでそうなるケースがけっこうある。言うなれば「決算発表は株価を正常化させる」ということ。3ヵ月に一度、業績という物差しが更新されて株価水準が修正されるイベントがあるのも、悪くない。(編集担当:寺尾淳)