消費税だけじゃない 日本にあふれる「見えない税金」

2016年11月05日 20:37

画・消費税た_けし_ゃない 日本にあふれる「見えない税金」

税金を納付する人と税金を負担する人が同じものを直接税、異なるものを間接税という。消費税や酒税、電源開発促進税は後者で、法人税や所得税、贈与税は前者に当たる。

 国を運営するために必要なお金、税金。私たちの暮らしを支えるための大切なお金だ。特に消費税は2014年に8%に税率が上がったあとも10%への再増税をめぐって賛否両論が盛んに交わされている。しかし消費税以外にも私たちが意識しない間に支払っている税金は数多くある。

 たとえば、日ごろ使っている高速道路の通行料。消費税が8%になった際に増税分を通行料金に転嫁せよと国土交通省がお達しを出したのは周知の事実だが、そもそもなぜ通行料が発生するのだろうか。高速道路を建設するには多額の費用がかかる。そしてそれは国のお金=税金だ。ユーザーが支払う通行料はこれを賄うために設定されている。海外に倣おうと考案された「高速道路無料化」が遅々として進まないのは、この建設費を返済しきれていないためだとされている。

 もっと身近なものでは、たばこ税や酒税がある。JTによると、1箱430円のたばこの場合その中に含まれる税金は約245円。消費税を含めると約277円と、実に64.4%がたばこ本体の価額ではなく税金となっている。また、お酒は種類により税率が異なるが500ml入りの缶ビールの場合、税金は110円ほど。300円前後で販売していることが多いことを考えるとやはり税率の高さを実感するだろう。これが麦芽比率50%未満25%以上の発泡酒になると89円。それ以下のいわゆる「第3のビール」は40円になるため、各社が技術を結集して「麦芽を使わないビール風味の飲料」を作っているのだ。

 他にも、毎月支払っている電気料金にも税金が上乗せされている。その名は「電源開発促進税」。これは1974年のオイルショックの際に登場した税金で、石油や石炭に代わる発電方法を模索するための費用に充てられている。税率は公にされていないが、東京電力によると月に300kwh使用する標準家庭で月額110円ほどとされている。

 専門家の間で「インフレ税」と呼ばれている税金もある。これは正確には税金として徴収されているものではない。インフレによって物価が上昇しても金利が上がらない状態で発生する「損」を税金と捉えているものだ。インフレになり物価が上昇しても、かつてはそれと並行して金利水準も上がったため預貯金の利息収入も増えて相殺できた。しかし現在のように金利の低下が続くとインフレで下がった貨幣価値とのバランスがとれなくなる。つまり国民から政府への所得移転が起こるため、「インフレ税」と呼ばれているのだ。これはまさに「見えない税金」だ。 (編集担当:久保田雄城)