日韓国交正常化50周年、戦後70年の節に迎えた昨年12月28日の慰安婦問題での「日韓合意」。安倍晋三総理は「日韓は新しい時代を迎える」と呼びかけた。
この日のスタートは安倍総理と朴槿恵(パク・クネ)大統領との「未来志向での日韓関係構築」を共有する関係から実現したところが大きい。
さらに北朝鮮の相次ぐ核実験や弾道ミサイル発射実験を背景に、日韓・日米・韓米の関係を「日米韓」関係強化の深化に向けた動きの中で、2012年に頓挫した「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」締結への協議が再開され、年内締結への流れが加速していた中で、『朴槿恵政権』に基盤を揺るがすピンチが訪れている。
朴大統領の親友の女性(崔順実=チェスンシル)が国政に介入していた疑惑やこの女性が文化支援財団やスポーツ支援財団を私物化していた疑惑が浮上し、逮捕されるに至った。朴大統領は4日、国民に2度目の謝罪をし、この女性の国政介入疑惑に関連して、自身に対する捜査受け入れを表明した。それは国民に対する誠意と受け止めたい。
ただ、今回の問題で、韓国世論調査会社の発表(4日)では大統領支持率が5%になった。前週比較で12ポイント下落。韓国国民の大統領への失望と怒りの大きさをうかがわせる。特に、親友だった女性の財団私物化への反感が大きいとみられている。
朴大統領は外交・防衛に限っては自ら主導し、その他の分野は新首相に委ねる考えも示しているそうだが、直近の課題である、在韓日本大使館前の少女像撤去への政治的指導力は今回の問題で大きく削がれてしまった。朴大統領の今任期中に実現できるのか、今から1年以上の期間は要すると覚悟して見守る必要があるだろう。急がず、騒がず見守ることだ。
あわせてGSOMIA締結についても、朴大統領の求心力の低下は、そのまま、国会での承認までに時間を要することは否めない。急げば、返って理解を得にくくなる可能性がでてきそうだ。
朴大統領が難局をどう乗り切るのか、国民からの信頼回復に誠心誠意取り組み、支持率(国民世論)が右上がりになっていくことを期待するほかない。(編集担当:森高龍二)