日本産業カウンセラー紹介が実施した「働く人のための電話相談」において、パワハラに関する相談件数が前年比の30パーセント増となった。自分がパワハラの加害者にも被害者にもならないために、パワハラについて学ぶことが重要である。
日本産業カウンセラー協会が2016年9月に実施された「働く人のための電話相談室」において、パワーハラスメントに関する悩みが前年比の30パーセント増になった事がわかった。「働く人のための電話相談室」は世界自殺予防デー(9月10日)に合わせて07年から実施され、今年は9月9日、10日、11日に行われた。期間中には467人からの電話相談が寄せられ、相談件数は756件に登った。
相談内容を分析すると最も多いのが「職場の悩み」についてであり、全体の35.2パーセントとなった。さらに「職場の悩み」のうち約4割が「人間関係の悩み」となっている。その他あげられるのは「セクハラ」、「パワハラ」、「その他ハラスメント」であり、相談者の半数以上が上司との関係の中でそのような悩みを抱えていることがわかった。
特に今年の相談内容として特徴的だったのは「パワハラ」に関する相談の増加である。「パワハラ」とは組織内でのパワー(地位、優位性)をもとに行われるハラスメントで、上司や先輩など立場が上の人物から受けたと感じることが多い。具体的な例としては暴言や侮辱的な発言を受ける、身体的な攻撃をされる、仲間はずれや無視、ノルマや残業の強要などがあげられる。中には犯罪ともとらえられるような事例も存在するという。
このような「パワハラ」は今年になって急激に発生件数が増えたのではなく、その認知が広まっているからこそ相談件数が増加しているとも考えられる。「パワハラ」を受けている人の中には精神的に打ちのめされ、「パワハラ」をしている人ではなく自分自身を責める事もある。そのような人が今まで受けてきた苦痛は「パワハラ」に分類されると何らかの方法で認知したことが、他者に相談するきっかけになったのではないだろうか。「パワハラ」の防止は会社内のコンプライアンスのみならず、個人のモラルに頼るところも大きい。自分が被害者にも加害者にもならないために、「パワハラ」の実態や具体例を知るだけでも行動は大きく変わってくるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)