【今週の振り返り】トランプ氏が大統領に当選し469円上昇した週

2016年11月12日 20:28

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投票日2日前、FBIはクリントン候補の捜査をやめたが、当選したのはトランプ候補。開票日は919円安、その翌日は1092円高。今週の東京株式市場は地獄も、天国も見た。

 日経平均終値は5.83円安の17171.38円、TOPIX終値は+0.69の1363.49。売買高は16億株、売買代金は1兆7766億円。値上がり銘柄数は805、値下がり銘柄数は1055。プラスは17業種で、その上位は海運、鉄鋼、非鉄金属、輸送用機器、保険、ゴム製品など。マイナスは16業種で、その下位は繊維、医薬品、鉱業、倉庫、陸運、食料品など。上海総合指数は0.46%高でこのところ売買が回復している。

 9日の日経平均は超大幅続落。アメリカ大統領選挙の投票が始まったが、リスクオンのムードは変わらずヨーロッパ市場は続伸。NYダウ終値は72ドル高。NASDAQもS&P500も続伸した。朝方の為替レートはドル円が105円台前半、ユーロ円が115円台後半でドル高円安がさらに進行。CME先物清算値は17310円。大阪夜間取引終値も17310円。

 日経平均始値は110円高の17281円。高値は10時1分の17427円。安値は2時9分の16111円。終値は919円安の16251円。取引開始前に9月の国際収支が発表され、経常収支は1兆8210億円の黒字で、市場予測より低いが27ヵ月連続の黒字。貿易収支は6424億円の黒字。4~9月(上半期)の国際収支は、経常収支は10兆3554億円の黒字。貿易収支は2兆9955億円の黒字。10月上・中旬の貿易統計は1622億円の黒字だった。

 日経平均は円安を背景に3ケタ高で始まり、序盤に17300円にタッチしながらも定着できない。アメリカ大統領選挙は東部から順次投票を締め切り、日本時間9時から小さな州で出口調査をもとにメディアの開票速報が続々と入ってくる。一喜一憂しながら動くが、クリントン氏優勢が日本ではカレーで有名?な選挙人3人のバーモント州しかないうちに「トランプ氏優勢」の速報ばかりゾロゾロ入ってきて、鬼門の「SQ週の水曜日」の東京市場は先物主導の仕掛け売りが入ってマイナス圏まで急落する。ドル円は104円台半ばまで円高急進。それでも17000円割れには至らず、CNNがクリントン氏優勢を伝えるとV字回復。9時台のうちに17400円を突破した。

 しかし10時台は徐々に下げていき、後半になると下げ加速。10時30分に中国の経済指標の発表があり、10月の消費者物価指数(CPI)は+2.1%で9月の+1.9%から上昇幅拡大。10月の中国工業生産者出荷価格指数(生産者物価指数/PPI)は+1.2%で悪くはなかった。それでもアメリカ大統領選挙の開票速報でトランプ氏優勢の州が増えるたびに日経平均は下げていく。獲得選挙人数はかなりの接戦。11時前にTOPIXから先にマイナスに落ちる。「トランプ氏が接戦州のオハイオ州を獲得か?」という報道が材料。現物以上に先物のアップダウンは激しい。11時台にはとうとう17000円も割り込んでしまい「トランプ・リスク」が猛威をふるう。16900円も16800円も16700円も割り込み、下落幅は500円突破。ドル円は104円台も103円台も守りきれず102円台後半まで円高が激しく進行。まるでトランプ氏当選が確定したかのような状況で、そこから少し戻し前引けは382円安だった。日銀のETF買いが入る条件は整った、が……。

 昼休みも「トランプ氏優勢」の状況は変わらず、後場は16500円を割り込んで安値更新で再開。16400円も下回り、800円を超える下落幅。日経平均先物はサーキットブレーカー発動の水準に接近。ドル円は101円台になってしまう。それでも1時台前半まで16400円台で踏ん張っていたが、選挙人数が多いフロリダ州を落としクリントン氏の獲得議席数が伸びずトランプ氏に大幅リードを許すと、後半に崩れ16300円も16200円も割り込む。

 2時に10月の景気ウオッチャー調査の結果が発表され、現状判断指数は46.2で前月比1.4ポイント上昇し、2ヵ月ぶりの改善。先行判断指数も49.0で0.5ポイント上昇し、4ヵ月連続の改善。ともに家計、企業業績、雇用が改善したため。内閣府は基調判断を前月の「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。東京商工リサーチが発表した10月の全国企業倒産件数は前年同月比8.0%減で2ヵ月連続改善。国内景気は決して悪くはないのだが……。

 2時を過ぎるまで安値を更新して下げ幅が一時1059円に達するセリングクライマックス。買われるのは防衛関連やTPP関連などの「トランプ関連銘柄」ぐらい。それでも財務省、金融庁、日銀の三者会談が午後3時から開かれるとアナウンスされ、為替の円高も日経平均の下落も歯止めがかかる。どちらが勝つかわからない大接戦がそのまま続き、ザラ場中には決着せず。トランプ氏がリードしたことで〃亡命〃希望者が殺到しカナダの移民情報サイトがアクセス集中でダウンした。

 終盤は16300円台まで持ち直すが大引けは919円安。日中値幅は1316円の超乱高下。TOPIXは1300台を死守した。日経平均採用銘柄225種全てマイナス。前日の4~9月期決算が中間期としては2011年以来の減収減益のトヨタ<7203>は、自社株買い・金庫株消却を行ってもこんな日に当たってはなすすべもなく6.52%下落。東芝<6502>の決算はパソコンやテレビが相変わらず営業赤字でも通期業績見通しを上方修正したが、5.10%安。日銀のETF買いの706億円は、こんな大波乱の日でも律儀に入っていた。

 日経平均終値は919.84円安の16251.54円、TOPIX終値は-62.33の1301.16。売買高は38億株、売買代金は3兆9242億円。値上がり銘柄数はわずか43、値下がり銘柄数は1934。全33業種がマイナスで、その下位は輸送用機器、海運、証券、鉄鋼、ガラス・土石、繊維など。上海総合指数は0.62%安だった。