【今週の振り返り】トランプ氏が大統領に当選し469円上昇した週

2016年11月12日 20:28

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投票日2日前、FBIはクリントン候補の捜査をやめたが、当選したのはトランプ候補。開票日は919円安、その翌日は1092円高。今週の東京株式市場は地獄も、天国も見た。

 大引けから約2時間後、アメリカ大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ候補の当選、民主党のヒラリー・クリントン候補の落選が確実になり、勝利宣言を行ったトランプ氏は来年1月20日に第45代大統領に就任する。連邦議会議員の選挙は上下両院とも与党の共和党が過半数を占めた。普通に考えれば安定政権だが、政策をみると「トランプ・共和党連立政権」のようなものなので、この先、何が起こるかわからない。

 10日の日経平均は超大幅反発。アジア市場は軒並みマイナスだったが、ヨーロッパ市場は全面高。NYダウは256ドル高と3営業日続伸し史上最高値に接近。まさかのトランプ氏の大統領当選。トランプ・リスク改め「トランプ・ショック」「今、そこにある危機」で大幅安かと思いきや、市場関係者は切り換えが早いのと「イベントは、それを通過すること自体が好材料」なのかリスクオン継続。ガラにもなく謙虚でしおらしかった「勝利宣言」も「言いたい放題だったトランプ氏が〃真人間〃になった」と好感されたのもかもしれない。自由貿易主義の廃棄などトランプ次期大統領の主張の中には共和党の伝統的な経済政策とはかけ離れたものがあるのに「共和党安定政権への期待」では、取って付けたような解説に思える。少なくとも「連邦政府閉鎖」はないかもしれないが……。

 卸売在庫は0.1%増だが市場予測を下回り、卸売売上高は0.2%増で2ヵ月連続プラス。原油先物は上昇。金先物は下落。アメリカの長期金利が急騰し、日米金利差の拡大で為替レートはドル円は106円にあと5銭まで接近し朝方は105円台後半、ユーロ円は115円台半ばで、ドル独歩高。CME先物清算値は17215円。大阪夜間取引終値は17250円。

 日経平均始値は311円高の16562円。高値は2時24分の17393円。安値は9時2分の16560円。終値は1092円高の17344円。取引時間前に9月の機械受注統計が発表された。船舶、電力を除く民需の受注額は前月比-3.3%。市場予測よりは良かったが、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正した。7~9月期では+7.3%。10~12月期の見通しは-5.9%。10月のマネーストックはM2が+3.7%、M3が+3.2%。

 アメリカ大統領選挙の結果が出て下がりきったところからの再出発だが、311円高で始まり、買い気配銘柄に値がつくにつれて先物にさや寄せし一気に17200円を超える。上昇幅は1000円に迫り、前日下落分919円の全値戻しを早々達成。少し落ち着き序盤は17100円台で推移する。10時台に入ると高値を更新して上昇幅が1000円を超えるが、高値追いは続かず17200円台で横ばい。為替も横ばい。11時に10月の東京都心部オフィス空室率が発表され0.06ポイント低下し4ヵ月連続改善。平均賃料は+99円、+0.54%で34ヵ月連続上昇。11時台はドル円105円台でやや円高に振れ、日経平均は少し下げ17200円を割るが、それでも900円高を超える水準。前日の乱高下がウソのような平和ないつも通りの日常で、前引けは927円高だった。

 為替のドル円は105円台を維持し、後場は17200円台で再開。再び1000円高を超える場面もありしばらく17200円台の小動きが続く。1時台後半からドル円の円安進行とともに再び高値追いが始まり、17300円を突破し2時台には17400円まであと7円という水準まで迫る。大引けまでにそれにタッチはできなかったが、4ケタ高で今年最大、歴代13位の上昇率を記録して終了した。

 日経平均終値は1092.88円高の17344.42円、TOPIX終値は+75.19の1376.35。売買高は32億株、売買代金は3兆4125億円。値上がり銘柄数は1935、値下がり銘柄数はわずか48。前日とは真逆になり全33業種がプラスで、その上位は保険、証券、銀行、鉄鋼、鉱業、非鉄金属など。上海総合指数も1.37%高の大幅反発だった。

 11日の日経平均はかろうじて小幅続伸。ヨーロッパ市場は全面反落したがNYダウは218ドル高で4日続伸し8月15日以来の史上最高値更新。もっともS&P500はプラスだがNASDAQはグーグルの親会社アルファベットが大幅安になるなど反落。IT企業、ハイテク企業はどちらかと言えば民主党支持なのでトランプ政権下で逆風が吹きそうな懸念がある。原油先物は4日ぶりの反落。金先物は4日続落したが銅先物は大幅上昇。トランプ次期大統領は日本で言う「国土強靱化」などインフラ整備を公約に掲げている。

 その本人はホワイトハウスを訪れてオバマ大統領と会談し、連邦議会の共和党の幹部と協議した。NYなど各地で反トランプのデモが巻き起こり、日本向けの農産物輸出港があるオレゴン州ポートランドでは暴動に発展。メディアでは15%の法人減税など人呼んで「トランポノミクス」の経済政策ばかり先走って報じられるが、人事など政権移行の準備は着々と進む。連邦政府の財政収支は440億ドルの赤字だったが、赤字幅は前年比68%減で市場予測を大きく下回った。

 小売業の企業決算。メーシーズは減収減益でEPS(1株当たり利益)が市場予測を下回ったが、コールズ、ラルフローレンのEPSは市場予測より上。年末商戦の見通しは視界良好という。トランプ・リスク変じて「トランプ・ラリー」となりアメリカの長期金利は上昇が続いて2.1%台。朝方の為替レートはドル円が106円台後半、ユーロ円が116円台前半。CME先物清算値は17495円。大阪夜間取引終値は17510円。