パリ同時多発テロから1年 現地は今

2016年12月04日 15:38

画・ハ_リ同時多発テロから1年 現地は今

同時多発テロ事件から1年が経過したパリでは追悼式典が行われた。日常を取り戻しつつも、依然非常事態宣言が続いており、市内は物々しい警戒体制がとられている。

11月13日、パリ同時多発テロ事件から1年が経過した。イスラム過激派の戦闘員とみられるフループによる銃撃、爆弾攻撃がパリ市内で同時に発生。130名が犠牲となり、負傷者は300名以上に及んだ凄惨な事件だ。

 13日午前には追悼式典が行われた。郊外にある多目的スタジアムのスタッド・ド・フランスからパリ市内まで、事件現場を1箇所ずつ周って進行。式では犠牲になった市民の名前が1人ずつ読み上げられ、犠牲者の名前が刻印されたプレートが設置された。献花台には多くの花が供えられ、遺族らが涙ながらに手を合わせていた。式典には政府要人が参加していることもあり、厳重な警戒態勢が敷かれ、遺族やメディア関係者を除く一般市民は式典終了後になってから初めて参列することができた。

 テロの現場となったパタクラン劇場では11月12日に営業を再開。厳重な警戒のなか、イギリス人歌手のスティングがライブを開催。テロの犠牲者の遺族や生存者も招かれ、ライブの冒頭で「テロの犠牲者を忘れない」と会場に呼びかけ、1分間の黙祷が捧げられた。

 現場となったスタッド・ド・フランスでは11月11日にワールドカップ予選が行われ、フランス代表とスエーデン代表が対戦。2-1で勝利し大歓声が挙がった。テロは1年前の代表戦の最中に発生。フランス人にとっては今回の勝利は格別なものだったに違いない。

 「今なおフランスではテロへの脅威にさらされている」とし、バルス首相は事件直後から続けている非常事態宣言を延長する考えを示した。これまで非常事態宣言は4回にわたり延長されてきた。現行の宣言は来年1月26日までの設定となっているが、今回延長されれば5月頃まで非常事態宣言が続くこととなる。

テロ事件から1年経ち、日常が戻りつつも未だにパリ市内の観光地や百貨店などでは厳重警戒が敷かれている。そしてパリのテロ事件以降も2016年6月にはトルコで、7月にはサウジアラビアとバグダッド、バングラデシュでイスラム国によるテロ事件が起きている。特にバングラデシュのテロ事件では日本人も犠牲となっている。今やフランスだけでなく、全世界のどこでもテロが発生する可能性がある非常事態なのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)