働き続ける母親が増加傾向 出生児縦断調査の比較結果より

2016年12月06日 07:57

画.働き続ける母親か_増加傾向 出生児縦断調査の比較結果より

10年出生調査では、出産1年前から常勤として就業していた母親の現在の就業状況は、常勤が55.5%、パートなどが17.0%、自営などが4.0%、無職が23.3%となった。また、子どもが0~4歳の間に常勤の仕事を継続していた人の割合は44.5%だった。これに対して、01年出生調査では、出産1年前から常勤として就業していた母親の現在の就業状況は、常勤が40.1%、パートなどが17.1%、自営などが4.6%、無職が36.8%だった。

 近年の女性の就労状況を見ると、出産後も働き続ける女性が増えている。厚生労働省から発表された「第14回21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)及び 第5回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)の結果」では、2001年と10年に実施の21世紀出生児縦断調査の比較により(調査自体は毎年実施されている)、この10年間での母親の就業状況の変化が示されている。

 10年出生調査では、出産1年前から常勤として就業していた母親の現在の就業状況は、常勤が55.5%、パートなどが17.0%、自営などが4.0%、無職が23.3%となった。また、子どもが0~4歳の間に常勤の仕事を継続していた人の割合は44.5%だった。これに対して、01年出生調査では、出産1年前から常勤として就業していた母親の現在の就業状況は、常勤が40.1%、パートなどが17.1%、自営などが4.6%、無職が36.8%だった。子どもが0~4歳の間に常勤の仕事を続けていた人の割合は32.7%となり、出産1年前から子どもが4歳になるまで常勤の仕事を継続した母親の割合は、9年間で11.8ポイント上昇している。

 母親のパートも含めた有職率も増加している。10年出生調査の母親の現在の有職率は58.2%だが、01年調査の母親に関しては、子どもが4歳当時の有職率は45.2%となっている。こうしたことの背景には可処分所得の変化により共働き世帯が増えたことや、教育にかかる費用が上昇したことがある。また、近年の女性社会参画促進を目的とした労働条件の改善の動きも大きく影響しており、たとえば改正育児・介護休業法では、育児休業制度の利用条件が緩和や事業者への設置の義務化などが盛り込まれ、出産後に職場復帰がしやすい環境が整いつつある。実際、育児休業利用率も上昇しており、国立社会保障人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、育児休業利用率は、第1子出産年が1985~89年では5.7%だが、2010~14年では28.3%となっている。ただし、就業形態によって育児休業の利用率や就業継続率は依然として差があることも事実で、育休利用の多い正規雇用者は約7割が就業継続するが、非正規雇用者ではこれが約25%となっている。非正規雇用者は上昇傾向にある。とりわけ若年層において上昇幅が大きく、非正規雇用者のものも含め更なる労働条件の改善が望まれる。(編集担当:久保田雄城)