自動運転車普及に貢献の可能性 オープンソース化による低価格キット実現へ

2016年12月23日 18:49

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自動運転車のAndroidを目指し、自動運転技術および独自のハードウェアデバイスの構築手順を公開するのは、iPhoneのジェイルブレイク(どんな通信事業者でも利用可能にハッキングした)で知られるジョージ・ホッツ氏率いるComma.ai社だ。同社は自動運転技術を誰もが活用できるものにすべく、Android 版自動運転システム「Comma One」の999米ドルでの販売を目標に開発を進めてきた。

 自動車メーカーやIT企業の自動運転車市場への参入が相次いでいる。テスラやグーグル、アップルなど米大手IT企業や、日本ではトヨタ、日産、ホンダ、最近ではパナソニックなどが市場奪還をもくろみ開発を加速している。激化する自動運転技術開発競争に後れをとるまいと各社が独自技術の開発に突き進むなか、自動運転技術をオープンソース化する企業が現れた。

 自動運転車のAndroidを目指し、自動運転技術および独自のハードウェアデバイスの構築手順を公開するのは、iPhoneのジェイルブレイク(どんな通信事業者でも利用可能にハッキングした)で知られるジョージ・ホッツ氏率いるComma.ai社だ。同社は自動運転技術を誰もが活用できるものにすべく、Android 版自動運転システム「Comma One」の999米ドルでの販売を目標に開発を進めてきた。しかし規制機関NHTSAによる厳しい干渉に嫌気が指し、発売を前にした10月に同システムの開発中止を宣言していた。今回のオープンソース化では同技術の発展を集合知に託し、誰もが無料で扱えるものとして普及を図る方向へ舵を切ったかたちだ。

 現在、Comma.aiは自動運転技術の「Openpilot」とハードウェアデバイス構築のための取扱説明書「Neo」を公開している。同システムでは、テスラと同等の「レベル2」(加速やクルーズコントロール、ブレーキ制御など複数の操作をシステムが行う)にあたる自動運転技術を実現している(ジョージ・ホッツ氏によればテスラ以外のどの車のソフトウェアよりも優れているとのこと)。同システムを車に搭載することで最大6分間の自動運転が可能となり、その後はドライバーが運転するよう促されるしくみだ。現在搭載可能なのは、2016年モデルの AcuraWatch Plus を搭載した「Acura ILX」と2016年モデル「Honda Civic Touring」の2車種とのこと。

 ソースコードが公開されていることからのセキュリティ面での脆弱性や規制クリアの難しさといった課題はあるものの、自動運転技術が先進国の富裕層向けのものから解放され、誰もが活用できる可能性を得た意義は大きい。(編集担当:久保田雄城)