国土交通省が住宅の断熱化の改修による居住者への血圧など健康への影響を検証した結果、断熱改修により室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向が確認されつつあるとの中間報告を15日までに発表した。
同省が平成26年度から取り組んでいる調査で、断熱改修予定の全国約1800軒の住宅とその居住者約3600人を対象に改修前後の居住者の血圧や生活習慣、身体活動量など健康への影響を検証しており、今回26年度、27年度末までのデータを中間報告した。
報告では断熱改修予定住宅について平成27年度までに2759人の改修前調査を行い、165人の改修後調査を実施した。調査は29年度まで実施の予定。それによると冬季において断熱改修で室温が上昇するのに伴い居住者の血圧も低下する傾向が確認できつつあるとしたほか(1)冬季では起床時室温が低いほど血圧が高くなる傾向がみられる(2)高齢者ほど室温と血圧との関連が強い(3)居間または脱衣所の室温が18℃未満の住宅では入浴事故リスクが高いとされる『熱め入浴』の確率が高いことも確認されたとしている。
報告は「特に家庭の浴槽での溺死者数は10年間で約7割増加し、平成26年には4866人(65歳以上が約9割)となり、交通事故死数4113人を上回っている。このため、安全な入浴方法の目安として『湯温41℃以下で10分未満に浴槽から上がる』ことが消費者庁で推奨している」としている。
そのうえで「今回の調査で得られた2759人の有効サンプルを用いた分析の結果、居間または脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅では入浴事故のリスクが高まるとされる42℃以上の熱めの入浴、15分以上の長めの入浴をする人が有意に多いことが分かった」としている。
報告は「年齢、性別、等価所得などの要因を調整した上で居間または脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅では入浴事故のリスクが高まるとされる42℃以上の熱めの入浴をする確率が1.8倍になっている」とした。(編集担当:森高龍二)