日本においてはスマホの普及率が2015年度にはガラケーを上回り、日常生活での行動様式も利便性の追求に向けた方向にシフトしていると考えられる。こうしたなか、ジャストシステムは、「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」(16年12月度)を発表した。レポートによれば、ネット接続に利用する機器では16年5月時点で、2位の「ノートPC」(54.6%)を大きく引き離して「スマートフォン」(70.8%)がトップとなり、その後も概ね高い割合を維持している。
行動様式の変化については以下の項目によく表れている。福袋購入についての質問では、購入予定や購入した人が全体の13.9%となった。購入経路については「リアル店舗」が76.5%、「インターネット通販」が37.3%、「スマートフォンアプリ」が23.5%となり、百貨店などのリアル店舗に出向いて購入するイメージのある福袋だが、ネットやアプリを経由して購入する人の割合も目立った。また、年賀状の作成について「すべて手書きで作成する」が6.8%、「一部手書きで作成する」が26.5%、「すべてパソコンで作成する」が30.4%だった一方で、「年賀状は送らずSNSやメールなどオンラインのみで済ませる」も9.5%となり、10人に1人程度が年賀状をSNSなどでのメッセージで代替していることがわかる。特に10代女性ではその割合が高く、26.0%と4人に1人程度が「オンラインのみで済ます」との結果となった。上記項目から、リアルでの行動様式がネット、特にスマホを活用したものに置き換わっているのがみてとれる。
一方、スマホ消費がこのまま伸び続けるかといえば、そうとばかりはいえないようだ。SNSを活用した購買行動の促進は今後も重要なことに変わりないが、リサーチ・アンド・ディベロプメントの調査によれば、18~29歳の「つながり欲求」が、15年ではここ20年間で最低となり、替わりに「自由欲求」の上昇がみられた。このことから、行動様式もよりパーソナルな方向へシフトする可能性がみえてきた。パーソナルな指向性を実現する手段として、去年から普及の兆しをみせているIoT機器による行動様式のパーソナライゼーションがあるが、上記ジャストシステムの調査によればサイトやアプリを介さず特定の日用品が購入できるIoT機器「Amazon Dash Button」の認知度は半数以下(40.9%)となり、まだまだ普及の途上といえそうだ。(編集担当:久保田雄城)