【今週の振り返り】 要人の「口から出れば世界」で149円下落した週

2017年01月21日 20:19

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トランプ次期大統領のドル高懸念発言、英国のメイ首相のEU完全離脱発言、イエレンFRB議長の利上げ回数発言、ムニューチン次期財務長官の強いドル発言

 10時台の日経平均は、前半は19100円を下回ってもプラス圏をほぼ維持したが、後半はマイナスに。それでも19000円の大台は割り込まない。11時、中国の経済指標がまとめて発表された。10~12月期の実質国内総生産(GDP)は+6.8%で前年同期も市場予測も上回った。2016年通年では+6.7%で前年比で0.2ポイント低下し、6年連続で減速。1990年以来の低成長だが中国政府の成長率目標+6.5%~+7.0%の範囲内。12月の小売売上高は+10.9%で市場予測より上、工業生産高は+6.0%で市場予測より下。2016年通年の固定資産投資は前年比+8.1%だった。ドル円は円高方向に動き、11時台の日経平均はプラスとマイナスを行き来したが、前引けは19円高。TOPIXもプラスで日銀のETF買いの可能性はごく薄くなった。

 昼休みのドル円は114円台後半で動きが乏しい。後場は前引けよりも下げギリギリプラス圏で再開するが、直後に19100円近くまで上昇。1時すぎまで19080~19110円のレンジで動く。午後、通常国会が召集され、安倍首相が施政方針演説を行った。会期はイタリアのタオルミナG7サミットをはさんで6月18日まで。為替のドル円レートは114円台後半でも、経済指標発表で中国リスク懸念が解消したためか日経平均は右肩上がりで、19150円を超えて高値更新。2時台には19176円まで上昇するが、やはり利益確定売りの金曜日なのか終盤に押し下げられて終えた。

 小売業の販売統計が業界団体から発表される日。1時の食品スーパー売上高は、12月は既存店ベース+0.6%で3ヵ月連続プラスになり、2016年通年では+0.8%。2時30分の全国百貨店売上高は、12月は既存店ベースで-1.7%で10ヵ月連続マイナスになり、2016年通年では-2.9%。大引け後4時発表の主要コンビニエンスストア売上高は、12月は既存店ベースで+0.5%で3ヵ月連続プラスになり、2016年通年は+0.5%。通年の来店客数は-0.5%だったが客単価は+0.9%。マーチャンダイジングの努力が報われた数字。

 日経平均終値は65.66円高の19137.91円、TOPIX終値は+5.31の1533.46。売買高は17億株、売買代金は2兆649億円。値上がり銘柄数は1152、値下がり銘柄数は709。プラスは25業種で、その上位は保険、石油・石炭、機械、鉱業、金属製品、非鉄金属など。マイナスは8業種で、その下位は水産・農林、その他製品、陸運、医薬品、その他金融、パルプ・紙など。上海総合指数は0.70%高。

 今週の星取は3勝2敗。前週末13日の終値19287.28円から149.37円下落して今週の取引を終えた。週間騰落は2週連続で下落。

 要人発言は怖い。それは為替市場、株式市場のムードを一瞬で変えてしまうこともある。今週は何度もそれを思い知らされた。普通の人にとっては「口から出れば世間」でも、要人が言葉をひとたび口にすれば「口から出れば世界」。マーケットにとっては、政治家でも中央銀行総裁でも企業経営者でも、「何を言い出すかわからない人物」ほど恐ろしいものはない。サイバー空間での私的な「ツイート(つぶやき)」でも、要人が発信すればそれは「世界のつぶやき」と化し、演説や講演やインタビューでの発言と同等か、時にはそれ以上の力をふるう。(編集担当:寺尾淳)