■自動車用品は減収でも2ケタ増益。一般産業用品は増収減益
1月31日、住友理工<5191>が2016年4~12月期(第3四半期)の国際会計基準(IFRS)による決算を発表した。
売上高(3084億円)は前年同期比で2.5%減、営業利益(95億円)は9.5%増、税引前利益(95億円)は15.5%増、四半期利益(57億円)は122.3%増(2.22倍)、最終四半期利益(41億円)は291.1%増(3.91倍)。最終四半期利益の2017年3月期の通期見通しに対する進捗率は92.9%もあった。
売上高は、販売量は増加したが、金額ベースでは海外事業で為替換算の影響を受けて円ベースでは減収になった。営業利益は、前年同期にダイテック社の構造改善費用を計上したこともあり75%の大幅増益だった。
自動車用品セグメントの外部顧客への売上高は3.9%減、営業利益は為替の悪影響を受けても販売量の増加、子会社の構造改革効果などが寄与して13.3%増だった。国内市場は軽自動車は悪かったが、全体的には自動車メーカーの生産台数増に伴って生産も販売も回復傾向。海外市場は北米のピックアップトラック、ヨーロッパのSUV、さらに中国でも小型車減税で揃って自動車の販売が好調で、販売量は前年同期を上回った。しかし主要市場の北米、ヨーロッパ、アジアとも円換算の売上高、利益に対する円高の影響が大きく、減収減益になった。
一般産業用品セグメントの外部顧客への売上高は6.4%増、営業利益は産業用ホース事業の再編に伴うコスト増などが影響して22.1%減だった。住環境・健康介護分野は国内住宅市場での需要増を受け、地震対策用制震ダンパーが売上増に寄与した。インフラ分野では鉄道車両用防振ゴムが国内外で堅調。建設・土木機械向け高圧ホースは中国の公共事業の復調で販売量が回復した。エレクトロニクス分野ではプリンター向け機能部品が市場の低迷で前年同期を下回った。
地域別では、為替の影響を受けた海外は軒並みマイナスだったが、日本国内の売上高は4.3%増と伸びた。営業利益ベースでは国内はマイナスで、アジアとヨーロッパその他の地域が前年同期比でプラスだった。
■通期業績見通しは据え置き。アメリカ、メキシコで投資を拡大
2017年3月期の通期業績見通しの修正はなかった。売上高は4000億円で前期比5.8%減、営業利益は120億円で6.7%減、税引前利益は110億円で7.5%減、当期利益は65億円で29.3%増、最終当期利益は45億円で55.1%増の見通しで、減収、最終増益の予想。期末配当10円、年間配当19円の見込みも修正しなかった。
今期、当初想定していた為替レートはドル円110円、ユーロ円120円で、一時はそれより円高に振れて業績見通しを下方修正したが、その後、為替レートが当初の想定より円安に変わっている。それが期末まで続けば、円ベースで見通しを上回る着地も望める。
直近ではアメリカ、メキシコでの投資が活発化している。2016年12月、自動車用防振ゴムを生産するケタレロ州のメキシコ第2工場が当初の予定を2ヵ月前倒しして稼働を開始。遮音性のあるウレタン製品の製造も始めた。アメリカ・テネシー州の2つの工場でも合計10億円の増産投資を行い、タズウェル工場ではウレタン製品、ミッドウェイ工場では防振ゴムを増産し、日系だけでなく欧米系の自動車メーカーにも供給している。メキシコで生産しているが、アメリカでも累計700億円を投資して約2000人を雇用し、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策にも沿っている。(編集担当:寺尾淳)