社長の平均年齢は59.3歳 過去最高を更新

2017年02月06日 08:22

 定年のない社長業。企業における経営者の平均年齢は高齢化の一途を辿り、後継者不在などで休廃業・解散を余儀なくされるケースが散見される。『平成 28 年版高齢社会白書』(内閣府発表)によると、65歳以上の高齢者人口は3392万人に達し、総人口の26.7%を占める。今後一層の高齢者増加・人口減少が見込まれるなか、企業の繁栄と存続に向け、トップの高齢化について考慮すべき問題は山積している。帝国データバンクは、2016年12月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(約146万社収録)から「株式会社」「有限会社」のデータを抽出。社長の年齢と 2016年の1年間における社長の交代状況について分析した。

 それによると、社長の平均年齢は59.3歳となり、過去最高を更新。1990 年以降上がり続け、91年からは5歳上昇した。社長交代率(1年間に社長の交代があった企業の比率)を見ると、3.97%で、4年連続で前年を上回った。リーマン・ショック以降低下していた交代率が、上昇傾向にあるとしている。

 2016年に社長が交代した企業を新旧代表の平均年齢から見ると、前代表が 67.1歳、新代表が51.1歳となった。総じて一般的に高齢者に分類される約67 歳で代表の交代が行われ、16.0歳の若返りが見られた。性別の分かった社長交代企業(4万4209社)を見ると、女性社長の比率は2015年の8.2%から10.6%へ上昇。なお、団塊世代(1947~49年生まれ)の社長は、11 万1625人(11.3%)判明した。

 社長の平均年齢を業種別に見ると、「不動産業」が61.3歳で最も高い。次いで、「製造業」(60.8歳)、「卸売業」(60.4歳)が続く。年代の分布を見ると、「不動産業」は50代(21.9%)が少ないものの、70代(19.8%)や80歳以上(7.3%)の割合が高く、平均年齢を押し上げた。逆に「サービス業」(57.9歳)は30代以下の割合が高く、平均年齢も低い。「建設業」は40代の割合が唯一 20%を超えた一方で、80歳以上は2.5%にとどまった。加えて社長交代企業を業種別で見ると、「建設業」が 22.3%と最も高く、社長交代が進んでいることが分かる。

 社長の平均年齢を業種細分類別に見ると、最も高かったのは「土地賃貸」(65.19歳)。上位には「貸事務所業」や「貸家業」など、前年に引き続き不動産業が多く見られた。一方、平均年齢が最も低かったのは、「通信付帯サービス」(47.93歳)。「土地賃貸」との差は約17歳開いた。このほか平均年齢が低い業種は、「保育所」(53.34歳)、「身体障害者福祉事業」(51.67歳)、「知的障害者福祉事業」(51.34歳)などとなった。他方、集計時点の最年少社長の業種は、水耕栽培キット・入溶剤など小売業(18歳、大阪府)と判明した。

 平均年齢を年商規模別に見ると、「1000億円以上」(60.8歳)が最も高く、「1億円未満」(60.2 歳)がこれに続き、ともに60歳を超えた。年代別の分布を見ると、「1000億円以上」の約6割が60代となり突出。一方、70代以上になると「1億円未満」の割合が最も高い。平均年齢の推移を見ると、年商500億円以上の企業では 1990年と比べ、各0.8歳若返りしているのに対し、「1 億円未満」は7.8歳上昇している。小規模事業者と大規模企業の社長平均年齢の二極化が進んでいるとしている。(編集担当:慶尾六郎)