イギリスからの黒船・DAZNで今後どうなる?動画配信のトレンドを読み解く

2017年02月21日 08:18

 総務省の調べによると、2016年のブロードバンド回線のインターネット通信量は、毎秒8.3テラ(テラは1兆)バイトと2015年度と比較すると52%増えた。

 2016年は本格的なネット動画元年と宣言する人も多くいたが、確かに今やあらゆるサイトに動画が埋め込まれている。その背景には、光ファイバーや3G、LTEが普及、家庭内での無線LAN「Wi-Fi」環境が整ったことで、ネット経由で多くの人が動画を閲覧する人が急増しているからだ。

 現在の動画サイトは主に「投稿・SNS」「通信事業系」「テレビ局系」「海外勢」「ネット企業系」の5つの柱で構成されている。投稿・SNSとは、YouTubeやニコニコ動画、ユーストリームなど。通信事業系はNTTドコモが提供し、エイベック通信放送が運営するdTV、KDDIが提供するビデオパス、ソフトバンクとヤフーが提供するスポナビライブなど。テレビ局系は民放各社が運営しているコンテンツ。海外勢は、Amazonプライム・ビデオやHulu、ネットフリックスなどだ。

 映画や音楽ライブ映像などの配信から始まったネットの動画配信だが、Hulu、U-NEXTのようなオンデマンド配信、ニコ生、ツイキャスなどのライブコミュニケーション、最近はフェイスブックでもライブ中継を行っている。学習塾や資格取得学校でも学習動画を取り入れている。SmartNews、LINEなどのメディアも続々と動画広告市場に積極的に参入している。今やネット動画はエンタテイメントだけでなく、様々なジャンルで活用が模索されている。

 ネット動画サービスは今年大きな転換期を迎えそうだ。イギリスの「パフォーム・グループ」という企業が運営している動画配信サイト「DAZN(ダゾーン)」の登場で市場拡大が予想される。HuluやNetflixのように月額料金を支払うとコンテンツが見放題となる。ダゾーンは、Jリーグと10年2100億円という大型放映権契約を交わしている。日本のプロ野球や海外スポーツも見ることが可能。NTTドコモ<9437>の利用者であれば月額980円でダゾーン視聴できる。今後スポーツ中継はネット動画で見るというスタイルが定着しそうだ。

 総務省の調査によると、ネット動画の利用者の比率は10・20代が最も多い。デジタル端末が幼い頃から身近にあり、抵抗感なくネット動画を閲覧している。今後、ダゾーンの普及でネット動画ユーザは30代以上の世代も間違いなく増えていくだろう。ネット動画は通信に大容量のデータ通信が必要になる。また今後はIoT(モノのインターネット)も普及も予想される。今後拡大していくネット動画市場だが、普及と共に携帯電話会社や通信事業者は通信インフラの整備が急務となっている。(編集担当:久保友宏)