国有地払下げ問題解明へ 関係者に証人喚問を

2017年02月25日 09:34

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大阪府豊中市の国有地払下げを巡る野党議員の追及に対する国側の答弁は適当な表現が見つからないほど、驚きと呆れる答弁のオンパレードだ。

 大阪府豊中市の国有地払下げを巡る野党議員の追及に対する国側の答弁は適当な表現が見つからないほど、驚きと呆れる答弁のオンパレードだ。一刻も早い真相解明へ「関係者の証人喚問」が求められる。

大阪市内の学校法人「森友学園」に小学校建設用地として昨年6月に払い下げられた国有地。地中9.9㍍に予定外のゴミが見つかったとして当初鑑定額の9億5600万円から8億1900万円値引きされ、1億3400万円で売却された。

 24日の国会でも新たな問題が続出した。この日の衆院予算委員会で、日本共産党・宮本岳志議員が、実際にゴミが撤去されたのか、また実際に掛かった撤去費用はいくらだったのかなどを確認したのか、と質したのに、財務省の佐川宣寿理財局長は「実際に撤去されたかどうかは契約上、確認を行う必要がない」などと答え、状況把握さえしていないことが分かった。

 さらに国有地の払下げ契約に、契約を交わした時点で契約に至るまでの交渉内容を記録した書類について「売買契約締結で事案は終了しているので、記録は(廃棄され)残っていない」と信じられない答弁を行った。

 宮本議員が「昨年6月20日に契約を交わし、その日のうちに、処分したということか」と追及すると「売買契約締結で、この事案は終了しているので、記録は(廃棄され)残っていない」と繰り返す。

 契約に至るまでの交渉内容の記録こそ、契約の妥当性や価格の適正性を判断ずる最重要資料であるにもかかわらず、である。

 今回のように「国益を損ねる」疑義が生じた契約の場合、国会の場に積算根拠や交渉過程を記した資料提示を求められるのは当然で、質疑中には「防衛省に探してもらえ」などの野次さえ飛んだ。

 宮本議員は事実関係を明確にするため、当時の関係者を証人喚問するように求めた。委員長は「理事会で協議する」と約した。虚偽報告すれば偽証罪に問われる証人喚問で疑惑を晴らしていただくことが、国会の責任だろう。

 さらに、民進党の玉木雄一郎議員は、実際にゴミ撤去作業に従事した工事関係者から『撤去の依頼があったのは約2000立方メートルで、汚染土は処理費がかかるという理由で実際に敷地外に運び出したのはその半分ほど。汚染土は運動場西側に埋めてある』との証言を得たとし「実際のゴミ撤去は国交省が8億円と見積もった量の5分の1以下である可能性が出てきた」と指摘した。

 「調査をして国民の疑惑を晴らすべきだ」。総理は会計検査院がその役割を果たすと答えたが、1日も早く真相を明らかにするためにも、関係者の協力を得ながら、事実関係を表にしてほしい。

 今は自営業者や2か所以上から収入のあるサラリーマンらが確定申告に税務署や役所に足を運んでいるが、確定申告に添付した資料、確定申告内容を裏付ける領収書や資料は最低5年間、保存する義務がある。税務署からの依頼があれば、その資料を提示しなければならない。

 国は財産管理をここまで無責任に、ずさんに管理しているのか。払下げ取引に疑義が生じた場合、国会の場に、その積算根拠や交渉過程を記した資料提示を求められるのは当然で、そんなことも想定しない官僚がいるなら、即刻、ご辞退願いたい。今は疑惑解明に野党への期待が寄せられる一方、その力量も問われている。期待に答えて頂きたい。(編集担当:森高龍二)