大切な愛犬。愛情をもって飼っているつもりでも、実はストレスを溜め込んでいるかもしれない。犬が感じているストレスを測定できるセンサーを、大阪府立大学獣医臨床センターや大手電機メーカーであるシャープ‹6753›などが結成した研究グループが世界で初めて開発した。
人間の場合、ストレスを感じると自律神経が刺激されて心拍の間隔が変わるため、心臓の鼓動を調べることによってストレスを測定でき、さまざまな医療機器に応用されている。しかし犬の場合は人間と異なり、普段から心拍の間隔が一定ではなく、個体差も大きいため、人間と同様にストレスを測定することが難しかった。
同グループではまず犬に取り外しできるような心電図測定センサーを開発。薬によって人工的に緊張状態にさせた犬にセンサーを取り付けて実験。緊張している状態と、リラックスしているときの心拍の違いを分析した。その結果、これまで測定できなかった微妙な心拍間隔の変化があることが分かった。更に誤差がないように解析を進め、緊張時とリラックス時の違いを明確に測定することが可能となった。測定にかかる時間は1分ほど。
同グループでは獣医内科学アカデミーでこのセンサーの研究結果を発表。数年以内に実用化したいとして製品化を進めている。センサーを使うことで、犬のストレスを日常的に測定することができ、飼育方法の改善はもちろん、病気の早期発見も期待できる。
当然ながら言葉が通じないため犬のストレス状態はわかりにくい。様子を見ていれば機嫌が良いときや悪いときというような感情はなんとなく察することができるが、病気の原因となるストレスを察することは難しい。このセンサーが実用化されれば、より一層愛犬家が犬に対して理解を深められ、正しい健康管理を行うことができるだろう。
これまではペットが人間のストレスを癒やしてきたが、これからはペットもストレスケアを受ける時代になると思われる。(編集担当:久保田雄城)