財務省は10日、国民負担率が2017年度は42.5%になると試算していることを発表した。国民負担率は国民がどれだけ公的な負担をしているかを表し、所得に占める税金や社会保障費の割合で算出される。昨年は43.9%であったため、ほぼ横ばいで推移すると考えられている。
消費税などの国税と住民税などの地方税を合わせた租税の負担率は25.1%で昨年比0.1%上昇の見通し。高所得者に対する所得税の増税が要因に挙げられている。一方、社会保障費は17.6%と、昨年比0.1%減少。雇用保険料が引き下げられることが要因として挙げられる。
一般的に国民負担率が高いほど高福祉、高負担の傾向がある。高福祉で知られるスウェーデンでは13年度55.7%、フランスでは67.6%、ドイツが52.6%と、欧州各国と比較すると低い傾向があるが、日本でも年々上昇傾向にある。ただし欧米諸国と比較すると日本は少子高齢化のスピードが早く、高齢者の年金、医療に対する支出が多い傾向があることが国民負担率を上げている要因の1つとなっている。国民負担率は80年代に30%前半から後半に上昇し、その後30%後半を推移。10年以降上昇傾向にあり、12年度には40%を突破した。消費税が25%に引き上げられれば、欧州並みの53%に引き上がるという試算もある。
一方、税金と社会保障費に加え、財政赤字額を含む「潜在的国民負担率」は増加の一途を辿り、近年では50%を超えており、過去最高の水準だ。こちらも上昇する年金支給総額や医療費が要因となり、現在の高齢者や現役世代では社会保障費を賄えずに、将来世代に先送りしているという現状が浮き彫りになっている。
今後も医療費や消費税増税などで国民負担率は上昇傾向が続くのは間違いなさそうだ。年金支給開始年齢引き上げも現実味を帯びている。特に若年世代では可処分所得が少なくなる中で、将来に備える必要もあり、厳しい状況になることを念頭に置く必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)