心疾患予防に革命 AI搭載のモバイル心電計開発へ

2017年04月05日 07:30

画.心疾患予防に革命 AI搭載のモバイル心電計開発へ

厚生労働省によると、2015年の1年間に心疾患(高血圧性を除く)よる死亡数は19万6113人で、死因別死亡数全体の15.2%。死因のなかでは1位の癌に次いで2位となった。また、アメリカ疾病予防管理センターによると、15年の心疾患による死亡数は全米で63万3842人となり、死因別死亡数全体の23.4%。

 厚生労働省によると、2015年の1年間に心疾患(高血圧性を除く)よる死亡数は19万6113人で、死因別死亡数全体の15.2%。死因のなかでは1位の癌に次いで2位となった。また、アメリカ疾病予防管理センターによると、15年の心疾患による死亡数は全米で63万3842人となり、死因別死亡数全体の23.4%。これは癌の死亡数を上回っており死因の1位となっており、心疾患の予防や死亡数減少に対する取り組みが世界的に重要視されている。

 こうしたなか、シリコンバレーのヘルステック企業「AliveCor」は、AIを活用したモバイル心電計「カルディアモバイル(Kardia Mobile)」を開発した。同デバイスは、機械学習により心電図の異常を検知し、不整脈の早期発見や脳卒中の予防に役立つ。99ドルという価格で販売し、大きさはクレジットカードの約半分、薄さは数ミリしかない。同デバイスはFDA認証を取得しており、約1分で心電図を測定することができる。
 
 同社がリリースしている、医師と患者を繋げるプラットフォーム「Kardia Pro」と連動することで、AIが心房細動などの心疾患を検知すると医師に通知し早期の治療を可能にする。Kardia Pro上には、体重や血圧、日々の活動内容なども共有され、医師は心電図と合わせて患者の様々なデータをトラッキングすることができる。また、AIが患者ごとに心臓のプロフィールを作成し、心電図が通常の状態からかい離すると、すぐに医師に警告を発する。

 Kardia Mobileは心臓専門医から高い評価を得ており、それまで定期的に受信を強いられていた心疾患患者の受診頻度の減少に成功している。心電図を簡単に確認できることによる安心感も大きい。同社への期待の大きさは、オムロンヘルスケアやメイヨー・クリニックなどから総額3000万ドル(約34億円)を調達し、累計調達額は4300万ドルを超えていることからも明らかだ。同社は収益源として、Kardia Mobileの販売量の他、Kardia Proの月間利用料を医師と患者の双方から徴収する方針を示している。

 同社は、Kardia Mobileをあらゆる家庭に普及させることを目標としている。Kardia ProとKardia Mobileの普及で不整脈や脳卒中の早期発見に繋がり、将来的には他の心疾患の検知に役立てるとのこと。同社のこうした取り組みが、心疾患の重篤化防止や死亡数の減少に寄与することが期待される。(編集担当:久保田雄城)