思考を読み取る脳・機械インターフェイスは、現在同社がジョンズホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と共同研究に取り組んでいる。大脳皮質から発せられる神経信号の検出には、LEDやレーザーといった光を使う方法が検討されている。
Facebookの開発者向け年次カンファレンス「F8」では、未来的なガジェットの開発チーム「ビルディング8」で進行中プロジェクトが2つ発表された。プロジェクトのひとつは、ユーザーが考えるだけでテキストメッセージを送信できる脳・機械インターフェイス。もうひとつは、皮膚で言葉を聞くウェアラブルデバイスだ。前者については、今後2年間で、脳から信号を抽出することで、1分間に100語の速度で文章変換できるものの開発を目指すとのこと。
思考を読み取る脳・機械インターフェイスは、現在同社がジョンズホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と共同研究に取り組んでいる。大脳皮質から発せられる神経信号の検出には、LEDやレーザーといった光を使う方法が検討されている。脳・機械インターフェイスの実現例としては、脳に直接埋め込まれたデバイスにより神経信号を記録し、脳性麻痺患者が思考で画面上のカーソルを動かして文字を選ぶといった研究がある。同研究では1分間に8語の速度でタイピングできたとのこと。現段階においては脳内や脳表面にインプラント型の電子機器を埋め込んで行っている神経信号の読解を、Facebookではヘッドギアなど非侵略性のデバイスにて実現し、読解速度を上げていく方針。
Facebook発表のもうひとつのプロジェクト、皮膚で言葉を聞くウェアラブルデバイスについては、従来耳から脳に伝える信号を腕などで代替することを可能にするもの。実験では16個のアクチュエーターを内蔵したデバイスを腕に取り付け、9つの言葉の組み合わせを認識できたとのこと。
脳・機械インターフェイスについては、イーロン・マスク氏が同技術開発を目的としたNeuralinkを設立している。同社では当面てんかんなどの症状緩和を目的として開発が進められ、その後人間の能力拡張を目指すと見られている。同様にFacebookでも脳・機械インターフェイスやウェアラブルデバイスを重度の麻痺や視覚・聴覚障害患者の意思疎通目的で開発が進められる可能性もある。ただし、本命は考えるだけでメッセージを送信する機能や、同社が開発に力を入れるAR・VR空間でのユーザー同士のコミュニケーション手段の開発だと考えられる。(編集担当:久保田雄城)