多様な働き方を後押しする働き方改革が政府主導で進められ、富士通<6732>やキヤノン<7751>などリモートワークを取り入れる企業も増加している。リモートワークはICTを利用し、自宅やコワーキングスペースなどで仕事をするスタイルのことで、家族や自分の時間が作りやすいといったメリットがある。「平成26年度厚生労働省テレワークモデル実証事業 従業員アンケート」によれば、リモートワークにより、75%以上の人が家族と過ごす時間や育児・家事の時間が増加したとのこと。一方、リモートワーク導入における課題も存在する。フロンティアコンサルティングは社会人1年目から9年目までの男女400人を対象に、リモートワーク導入環境について調査すべく調査を実施した。
調査結果によれば、「自宅で会社の仕事をすることができるか」という質問に対して「問題なく仕事ができる」との回答が25.8%、「多少問題はあるが仕事はできる」が29.3%、「全くできない」が45.0%となり、半数近くが自宅で仕事ができないとの結果にとなった。「自宅で会社の仕事ができない理由」については、「仕事に必要なソフトや機器が会社にしかないから」が44.4%、「仕事に必要な資料やデータが会社にしかないから」が43.4%、「自宅のPCや通信環境が充実していないから」が31.3%とデジタル環境に関する要因がトップ3を占めた。これ以外にも「自宅で仕事をしていると家族の目が気になるから」(6.7%)や「自宅では仕事を阻害する誘惑があるから」(13.5%)といった個人の生産性に関わる要因が上がった。
日本でリモートワークが推進される一方、最近になってアメリカの企業ではリモートワークを廃止するような動きが出てきている。米IBMでは最近、これまで採用してきた在宅勤務の廃止を対象従業員に通告。米ヤフーも在宅勤務を禁じると発表している。米グーグルについても、リモートワークは禁じていないもののあまり積極的ではない。その一因にはチームとしての機能が落ち、生産性が下がることがあるようだ。リモートワークが推進されつつある日本の企業においても、今後さまざまな課題が出てくると考えられ、最も働きやすく仕事の成果が上がる働き方が模索される必要がある。(編集担当:久保田雄城)