2016年の上場3,079社の平均年間給与は605万7,000円

2017年05月27日 09:52

 東京商工リサーチによると、2016年(1-12月)の上場3,079社の平均年間給与は前年より6万3,000円(1.0%)増え、605万7,000円だった。2011年の調査開始以来、5年連続の増加で初めて600万円台に乗せた。

 業種別で、最高は金融・保険業の702万9,000円(前年698万円)で、唯一700万円台に乗せた。次いで、建設業の671万9,000円、不動産業の663万7,000円、電気・ガス業の658万6,000円と続く。最低は6年連続で小売業の500万円(同496万3,000円)で、金融・保険業とは1.4倍の差があった。業績が好調な建設業、不動産が順調に上昇し、東日本大震災以降、減少が続いていた電気・ガス業は初めて増加に転じた。

 個別企業の平均年間給与では、M&A助言会社のGCA(2,139万6,000円)が2年連続で首位を守った。2,000万円台は唯一で、2年連続の2,000万円台だった。一方、500万円未満も723社(構成比23.4%)あり、上場企業の平均年間給与は二極化が拡大している。

 国税庁が公表した「平成27年分民間給与実態統計調査結果」によると、2015年の平均年間給与は420万4,000円(正規484万9,000円、非正規170万5,000円)で、上場企業の平均年間給与と1.4倍(185万3,000円)、正規社員ベースでも1.2倍(120万8,000円)の開きがある。政府や経団連は企業に賃金引き上げを要請し、上場企業の給与は着実に上昇している。だが、業種間で格差は拡大し、また中小企業との給与格差も縮まる兆しはみえないとしている。

 上場3,079社のうち、平均年間給与が前年より増えたのは1,892社(構成比61.4%、前年2,060社)で6割を占めた。一方、減少は1,167社(同37.9%、同997社)、横ばいは20社(同0.6%、同22社)だった。平均年間給与の「増加」企業数は6割を占めたが、前年より169社減少した。

 3,079社の平均年間給与の増減率をみると、増加率は0.0%超~1.0%未満が401社(構成比13.0%、前年384社)で最多だった。次いで、増加率1.0%以上~2.0%未満が393社(同12.7%、同371社)と続く。増加率3.0%以上では各区分で社数が前年を下回った。また、0.0%(前年同額)は20社で、前年より2社減少した。一方、減少率では、最多は0.0%超~1.0%未満の345社(構成比11.2%、前年314社)。減少率は、すべての区分で社数が前年を上回った。

 増加率10%以上が150社(構成比4.8%)に対し、減少率10%以上は70社(同2.2%)にとどまり、全体の平均年間給与を押し上げた。ただ、増加が1,892社(前年2,060社)、減少は1,167社(同997社)と、平均年間給与が前年より減少した企業が増え、上場企業の給与上昇はブレーキがかかりつつある。

 業種別で平均年間給与は、 最高が3年連続トップの金融・保険業で702万9,000円。一方、最下位は6年連続の小売業で500万円。ただ、小売業は3年連続で上昇し、初めて500万円台に乗せた。小売業は“雇用の受け皿”業種の面もあり正規、非正規を問わず社員が多く、全体給与は押し下げられやすいが、深刻な人手不足の中で待遇改善に動いていることがわかる。(編集担当:慶尾六郎)