介護従事者の負担軽減の観点から、介護現場においてロボット技術の活用が強く期待されている。ミック経済研究所によれば、調査対象6分野の売上高の合計は30億6700万円となった。中長期的には、現在の介護問題を抜本的に解決するシステムとして期待されている地域包括ケアシステムを構築するための機器として利用されることも想定され、2020年度には144億円市場へと成長することが予測されるとのこと。
調査対象6分野、16年度売上高内訳は、ロボットとの会話などを通してのコミュニケーション活動によって介護者の負担軽減効果を図る「コミュニケーション型ロボット」分野で、前年度より54.5%増の5億8千500万円。装着型でリハビリテーションを支援する「リハビリ型(装着)」分野で、前年度より13.1%増の8億4千万円。移乗をアシストする「移乗型(装着)」分野で前年度より74.7%増の8億円。歩行器に電動モータが備え付けられた「移動型」分野で3億8千400万円。転倒や徘徊などのリスクを軽減する「見守り型」分野で、前年度より114.4%増の3億7千300万円。服薬記録などを管理することができる「服薬支援型」分野で、前年度より48.2%増の8千300万円となっている。
一方で、こうした先進的技術を利用した介護機器の分野は、市場性・安全性・実用性の問題から開発・製品化が進みづらい一面もあり、現場に導入するための公的支援・制度面の手当てが必要とされている。13年度には、経済産業省の主導により「ロボット介護機器開発・導入促進事業」が設立され、介護・福祉施設へ様々なロボット機器の導入が進められている。また、介護事業者の多くを資本金1千万円未満の中小企業が占めるなか、異業種大手が参入し、中小にはできない介護サービスの展開が期待されている。パナソニックが4都道府県で展開するパナソニックエイジフリーでは、AIにより高齢者の転倒の危険を察知する見守り機器を発表。数年後の実用化を目指している。
日本の65歳以上の高齢者人口昨年9月15日時点推計で3461万人と過去最高を更新。若年人口の減少により今後さらに広がる介護者不足をロボット機器の活用による解消に期待が高まっている。(編集担当:久保田雄城)