菅義偉官房長官は14日に記者会見で、学校法人加計学園(岡山市)の大学への獣医学部新設を巡り「総理の御意向」「内閣府の最高レベルが言っている」などの文書が存在するとした文科省の職員に対し、義家弘介文科副大臣が国会答弁で、一般論と断りながらも「国家公務員法違反になる可能性もある」としたことについて、今回の告発者が国家公務員法違反として処分の対象になるとの認識を有しているか、と記者団に聞かれ「義家副大臣の答弁は、まず個別の事案に関する個別の適用の有無ではない」とした。
菅官房長官は「義家副大臣は一般論としての法律の解釈を説明したものだと聞いている」と答えた。そのうえで、菅官房長官は「我が国は法治国家であるので、法令に基づいて適切に対応するという事だ」とした。
記者団が、こうした発言は内部告発に委縮を生む懸念があるが、と質したところ「公益通報者保護制度については、特定の法令に違反するような通報対象事実を対象にしている。義家副大臣の発言も、こうした主旨を発言したものだろうと思っている」と語った。そのうえで「いずれにしても、これは文科省で適切に対応するものであるということに尽きるのだろう」とそれ以上のコメントは避けた。
また、記者団が、文科省で調査中であり、こうした発言は慎重にすべきではないのか、と質したのには「質問で聞かれたので一般論として(義家副大臣は)申し上げられたのだとおもう。私も(記者が言う通り)慎重であるべきだと思う。あの発言は、それ以上でもそれ以下でもないと思う」と語った。
問題の発言は義家副大臣が13日の参院農林水産委員会で、自由党の森ゆう子議員が文科省の文書の再調査は犯人捜しともいわれているが(この文書の存在を示すこと、今回の件で告発した職員は)公益通報者にあたると思う。その人たちの権利を守る意識はあるか」と質したことに義家副大臣が答えたもの。
義家副大臣は「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」などと述べ「告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可無く外部に流出させることは国家公務員法違反になる可能性があると承知している」と事務的に一般論をかかげながら、半ば威圧とも受け取れる答弁をした。
森議員は「国会でウソの答弁を言わなければならない。国民の代表である国会議員にウソの答弁をしなければならない。それには耐えられない。すべての国民のために働いているからこそ、勇気を出して告発したのだ」としたうえで「この件に関して報復しようとするような動きがあったら、私は許さない。この件に関し、国民のために働こうとした国家公務員、文科省職員を守るために闘う。不当な扱いを受けることが無いよう監視していく」と、公益のための内部告発が委縮することのないよう、監視を続けると断言した。(編集担当:森高龍二)