学校法人加計学園（岡山市）の大学への獣医学部新設をめぐり、加計学園ありきの疑惑が深まっているが、菅義偉官房長官は２０日の記者会見で、記者団が第３者による調査をすべきではないか、と求めたのに対し「総理も昨日言ったが、省庁間のやり取りについて文科省が調査し、内閣府でも行っている。そのうえで、何か新しいことを指摘されることがあれば真摯に説明責任を果たしていきたいと思っている」と述べるにとどまり、第３者による調査の考えは無い旨示した。
記者団が、文科省と内閣府の意見があまりにも食い違っており、客観的な第３者の視点で両府省の調査を再度行う必要があるとしたのに対し「それぞれの大臣が責任を持って答弁していく事だと思っている」と第３者調査に否定的な姿勢を示した。
記者団が、それぞれの大臣が対応するというが、それぞれの大臣の答弁に食い違いがでているのだから、第３者を入れずに、大臣に任せるのは無責任ではないか。官邸がリーダーシップをとって、何かしらの対応をすべきではないかと質したのにも、第３者調査には否定的姿勢を変えなかった。
また、菅官房長官は加計学園の大学への獣医学部新設に関し「総理は全く関与していないということを明快に申し上げているので、関与していることはない」と強調したが、いわば身内側の総理や萩生田光一官房副長官らの言葉を全面信用し「関与はしていない」と発表する構図で、文科省が資料を示し公表するのに対し、山本幸三地方創生担当大臣を含め資料を示すことなく否定する状況だけに、疑惑払拭には説得力を欠いている。
この日の会見では本質的な質問には調査した文部科学省に聞いてほしいと文書の中に登場する内閣府関係者のことにまで、調査した文科省に文書内容の事実関係を聞くよう求める場面もあった。
真相解明には第３者調査機関による調査とともに、前川喜平・前文部科学事務次官、萩生田光一官房副長官ら関係者の証人喚問がなければ「政治が歪められたのでは」との疑念払拭には及ばない事態になっている。（編集担当：森高龍二）
