モデルなき時代をどう生き抜くか 若手官僚の提言

2017年06月25日 13:35

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経産省の次官・若手プロジェクトによる資料「不安な個人、立ちすくむ国家~モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか~」が今年5月に発表された。国家が個人の選択を支え、不安を軽減させるような柔軟な制度設計が早急に求められていると若手官僚は警鐘を鳴らす。

 経済産業省での省内公募によって集まった約30名の有志若手官僚達によって構成された次官・若手プロジェクトの作成した資料「不安な個人、立ちすくむ国家~モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか~」が今年5月に発表され、ネット上でも様々な反応が起こっている。当プロジェクトは東京大学をはじめとした有識者との意見交換会や文献調査を行い、国内外の社会構造の変化を把握し中長期的な政策における指針を検討、社会に広く問題提起することが大きな狙いだ。本資料では、高度経済成長期の1960年代を前提として作られた既存の社会システムの老朽化と、現代におけるライフスタイルの多様化による弊害を是正する為の抜本的な改革案を提示している。

 近年、グローバル化による個人主義の尊重や幸福の多様化が進み、一人当たりGDPの増加と幸福度は必ずしも比例しないことが国連の調査などで明らかになっている。物質的な豊かさが人生の豊かさという旧来の価値観は変わりつつある。医療の発達などによって健康寿命も上昇傾向にあり、人生設計そのものが大きく変化していくという流れのなかで若者の引きこもりや社会的孤立、貧困の固着化、母子家庭の貧困問題、高齢者の孤独死など個人の幸福と国益とを損する要因が、複雑に絡み合いながら社会に潜伏している。

 社会とのつながりをうまく持てずに古い制度や古い価値観に縛られ、そこからの脱却に窮する若者や高齢者は多く、今後も増えていく事が予想される。そんな中、国家が個人の選択を支え、不安を軽減させるような柔軟な制度設計が早急に求められていると若手官僚は警鐘を鳴らす。今回の提言は、行政側の若い世代からこういった熱量のある問題意識が発信されたという点で大きな意義がある。

 人生につまずき、立ち上がれずに諦めていく人や自暴自棄になる人、そういった人々の受け皿となる選択肢を増やし、より尊厳のある人生を取り戻してもらうことで国民の自発的で多様な社会貢献が可能となり、本当の意味での一億総活躍社会となるのではないか。

 日本は現在、領土問題やアジア内の脅威に対する問題など国内外で解決すべき課題が山積している。2025年には団塊世代の大半が75歳を迎える中で、既存の枠に囚われず日本がどういった選択をするのか問われる時期が来ている。今後20?30年前後で韓国、中国、タイなどのアジア諸国が高齢化問題を迎える。それに先立つ日本の動向が今、注目されている。非常に難解な課題だが、官と民・若者や高齢者問わずどれだけ多くの国民が、建設的な姿勢で国家の問題に向き合えるかが状況を打破する鍵となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)