松本純国家公安委員長はテロ等準備罪創設を柱にする改正組織犯罪処罰法の施行に伴い、12日までの記者会見で「国会での審議も踏まえ、捜査が適正に行われるよう、しっかり警察を指導する」とした。また「法の適正運用を図るため、テロ等準備罪の捜査を行おうとするときは警察庁に事前に報告することを指示した」と述べた。
松本委員長は改正法について「我が国のテロを含む組織犯罪対策上意義があるものと認識している」とした。
そのうえで「国民の安全・安心を守るため、テロを含む組織犯罪対策を推進するよう、警察を指導する。一方、警察庁は既に6月23日付で、テロ等準備罪に係る取り調べその他の捜査に当たっては(1)その適正の確保に十分配慮しなければならない旨の規定が設けられた趣旨に留意すること(2)適正捜査を確保する観点から、テロ等準備罪の捜査については、警察本部の指揮の下に行うこと、等を指示した」とした。
民進党の逢坂誠二衆院議員はツイッターで「犯罪計画を予め知るためには被疑者等への監視拡大が必要。法施行で捜査機関はその根拠を得る」としたうえで「今回は捜査手法について法改正はないため建前上は捜査が変化することはないが、共謀罪を立件するため捜査機関の捜査権乱用が懸念される」と捜査権の乱用が行われることがないよう、特に注視していく必要を提起した。
法務省は「テロ等準備罪の新設に際して、通信傍受法の拡大や会話傍受の導入など新たな捜査手法を導入することは予定していない」とし「捜査権限が拡大・濫用(乱用)されて国民生活が広く監視されるようになるなどというおそれはありません」と懸念払拭に努めている。(編集担当:森高龍二)