陛下「過去顧み深い反省」総理に反省の文言なし

2017年08月15日 17:17

 72回目を迎えた終戦記念日の15日、全国戦没者追悼式で、天皇陛下は「過去を顧み、深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い」とさきの大戦における日本のアジアでの侵略行為や植民地支配の歴史を踏まえた発言をされた。

 一方、安倍晋三総理は、式辞冒頭に「戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない」と不戦の誓いを述べたものの、過去の歴史には「謙虚に向き合いながら」と語るにとどまり、過去の歴史に踏む込んだ日本政府としての反省の文言はなかった。

 安倍総理は「わが国は争いの温床ともなる『貧困の問題』をはじめ、さまざまな課題に、真摯に取り組むことにより、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のため、希望に満ちた明るい未来を切り開いていく。そのことに全力を尽くしてまいります」と未来に対しての決意を滲ませた。

 こうした中、韓国外交部は安倍総理がA級戦犯を合祀する靖国神社に玉串料を(私費であっても)奉納し、与野党国会議員数十人が神社を参拝したことに「日本の政府と議会の責任ある指導者たちが日本の植民侵奪や侵略戦争の歴史を美化している靖国神社に再び玉串料を奉納し、参拝を繰り返したことに深い憂慮を禁じ得ない」とする報道官声明を発表したと聯合ニュースは伝えた。

 一方、幼いころから家族行事として靖国神社を終戦記念日に参拝してきたという野田聖子総務大臣は参拝を見送る見識を見せた。野田大臣は靖国参拝に「様々な情勢を鑑みて慎重に判断する」と4日の記者会見で話していた。韓国、中国などアジア近隣諸国への配慮を優先したとみられる。日報問題で引責辞任した稲田朋美前防衛大臣や高市早苗前総務大臣らは参拝した。(編集担当:森高龍二)